by Nina

ギザの大ピラミッドは紀元前2500年頃に作られたとされる巨大建造物であり、1個あたり2トンを超える石材が230万個も使われています。新たな研究では、ギザの大ピラミッドがたびたび地震に見舞われつつも、4000年以上にわたりほぼ完全な姿を保ってきた理由について明らかになりました。

Architectural and geotechnical aspects affecting earthquake resilience for the antique Egyptian Khufu pyramid | Scientific Reports

https://www.nature.com/articles/s41598-026-49962-6

The Great Pyramid Has Survived 4,600 Years. A Strange Feature May Help Explain Why. : ScienceAlert

https://www.sciencealert.com/the-great-pyramid-has-survived-4600-years-a-strange-feature-may-help-explain-why

Great Pyramid of Giza is remarkably resilient to earthquakes -‬ and it's due to the ancient Egyptians' 'extraordinary' engineering knowledge | Live Science

https://www.livescience.com/archaeology/ancient-egyptians/great-pyramid-of-giza-is-remarkably-resilient-to-earthquakes-and-its-due-to-the-ancient-egyptians-extraordinary-engineering-knowledge

ギザの大ピラミッドは古代エジプト第4王朝を統治したクフ王の墓とされており、230万個もの巨石を積み上げた総重量600万トンにも及ぶ巨大建造物です。完成時の高さは約147mで、それから4500年近くが経過しても大きな崩壊などには見舞われず、約138mというほぼ完全な高さを維持しています。

ピラミッドは大部分が固体構造であり、重量は地面と接する底面全体に分散しているため、非常に頑丈な建造物であることは確かです。また、エジプトは建造物に大きな被害を与える地震が少ない地域でもありますが、ギザの大ピラミッドから半径80km以内でもたびたび大きな地震が発生しています。1847年にはマグニチュード推定6.8の大きな地震がこの地域を襲ったほか、1992年にはマグニチュード5.8の地震が記録され、ピラミッド上部の石がいくつか剥がれ落ちる被害が発生しました。

たびたび地震に見舞われているにもかかわらず、最も古いピラミッドのひとつであるギザの大ピラミッドは、他の世界各地のピラミッドが崩落する中でもその姿を保ち続けてきました。この理由について調査するため、エジプト国立天文学・地理学研究所の地震学者であるアセム・サラマ氏が率いるチームは、ピラミッド内部および周辺部に振動センサーを設置し、周囲の振動に対してピラミッドがどのように振動するのかを調べました。



by Warren LeMay

研究チームは王の間・女王の間・王の間の真上に存在する重量軽減の間・通路・トンネル・外側の石・ピラミッド周辺の地面などに合計37個の振動センサーを設置しました。これらのセンサーは遠くの道路を走る車両・風・海洋波のエネルギー・地殻を伝わる微弱な振動など、その地域に偏在するさまざまな発生源からの微細な振動を捉えることが可能です。

重量軽減の間に振動センサーを設置する研究者の写真が以下。



データを分析したところ、ピラミッド周辺の地中ではこれらの微細な振動が合わさり、約0.6Hzの一定の周波数が常時発生していました。一方でピラミッド内部のほとんどの場所では、約2.0〜2.6Hzという驚くほど均一な振動周波数が記録されました。

研究者によると、地盤の振動周波数とピラミッド自体の振動周波数の不一致が、ギザの大ピラミッドが地震による被害をほとんど受けなかった理由のひとつかもしれないとのこと。地盤と建造物の振動周波数が異なる場合、地震エネルギーが地盤から構造物へと効率的に伝達されず、共振によって建物に深刻な損傷が及ぶのを防止できます。

また、振動はピラミッド全体でほぼ均一であり、高さが増すにつれて増幅される傾向にありましたが、その例外が「重量軽減の間」であることも示されました。重量軽減の間は層状の空間で、その最上部は王の間の床から21mを超える高さがあり、通常は王の間にかかる荷重を軽減するために設けられたと解釈されています。

データを分析した結果、重量軽減の間では振動の増幅率が急激に低下しており、応力を再分配して振動を遮断する役割を果たしていることが示されました。重量軽減の間を考案した人々が、荷重の軽減のほかに振動遮断まで意図していたかどうかは不明ですが、結果的にギザの大ピラミッドの耐震性を高めるのに役立った可能性があるというわけです。

以下の図の赤い矢印で示された、上部が切妻構造になっている空間が重量軽減の間(11:Weight relief chambers)です。



ギザの大ピラミッドの建築時、耐震性が意図的に組み込まれていたかどうかは不明ですが、研究チームはその証拠を探してさらなる調査を続けるとのこと。サラマ氏は科学系メディアのLive Scienceに送ったメールで、「この研究は、何世紀にもわたる実験と改良を通して非常に効果的な建築技術を開発した古代エジプトの建築家たちの、並外れた実践的な工学知識を浮き彫りにしています」と述べました。