営業所によっては7割…急増!生保の中国人営業社員「成績優秀者の豪華パーティは中国人だらけ」の実態
〈胃腸炎なら入院の必要がないけど、もし中国帰省中に1日でも入院すれば、入院一時金の30万円をもらえますよ〉
〈日本の生命保険、本当にお得だね〉
中国のSNS『小紅書(シャオホンシュー)』に、こんな中国語が飛び交っている。中国人に教えられて「入院一時金」と検索すると、日本の大手生命保険(生保)会社のパンフレット画像がズラリと出てきた。大手生保で働く中国人営業社員が、入院一時金を悪用する例を紹介しているようだ。
いま、日本を代表する生保会社で働く中国人が増えている。筆者が複数の中国人営業社員に話を聞いてみると、驚きの実態がわかった。
東日本のある支社に勤務するAさんによると、支社の社員数は400人以上、そのうちの約100人が中国人だという。支店内の営業部は三十数人で、Aさんを含めて数人が中国人だ。
別の生保に勤務するBさんの支社には約600人の社員がいて、そのうち中国人は百数十人。Bさんが所属する営業所は、’25年夏の時点で、なんと社員の7割が中国人で占められているという。
このほかにも「営業所の3分の1〜4分の1が中国人だ」「全国の成績優秀者だけが招待される豪華パーティに行くと中国人だらけだった」といった声を多数耳にした。
「アルバイトよりずっといい」
Aさんは「このままいくと、生保の営業は、日本人のほうが少数派になるかもしれません。成績優秀者も、全国の上位は中国人が独占する日が来る可能性があります」と語る。
Aさんの話では、10年ほど前から生保営業を敬遠する日本人が増えてきて、人手不足だそうだ。営業所によっては、合併や縮小を余儀なくされているところもあるらしい。「生保営業はノルマが厳しい」といったイメージも影響し、かつて「生保レディ」と呼ばれた女性たちは減少している。
一方で、生保の営業職に就こうとする中国人が増えている。その理由は何なのか。
答えは明快だ。第一に学歴不問、経験不問で、入社のハードルが非常に低いこと。ある程度の日本語会話ができれば問題ないという。
次に、基本給の保障がある点だ。会社によって制度は異なるが、入社後の1〜2年間は保障される。研修期間中も支払われることに魅力を感じる人が多い。彼女たちは「時給のアルバイトをするよりずっといい」「お金をもらいながら生保の知識を学べる」と考えている。
働き方が自由で、自分で労働時間を決められることも魅力だ。一定の業務さえ行っていれば、直行直帰でも問題ない。オフィスに座っている必要がないのも「束縛されたくない性格の中国人に向いている」(Bさん)。
年収2億円という人も
最大の魅力は、収入が歩合制であることだ。生保の営業職は、本社に勤務する内勤職とは異なり、契約件数などによって収入に差が出る。ある内勤職の日本人によると、営業所で成績がトップクラスなら年収2000万円前後、全国上位の成績優秀者になると、年収1億〜2億円という人もいる。
これらの点に魅力を感じ、彼女たちは生保に入社している。とくに増えたのはコロナ禍以降だ。インバウンド関連ビジネスが減少し、在日中国系企業の業績が厳しくなるなか、生保は「日本の大手企業なのに、外国人でも意外と入りやすい」ことがわかり、その情報が在日中国人間の口コミで広がった。
AさんやBさんによると、顧客の8割以上は在日中国人だ。彼らの中には、日本語が不自由だったり、たとえ話せても、生保商品の内容を理解するのは難しく、生保に入りたくても入れない人がいる。そこで、中国人営業が中国語で説明する。
日本人の人間関係は希薄になり、親戚や友人から勧誘されると「面倒くさい」と感じる人が増えている一方、在日中国人の間には濃密な人間関係が存在しており、生保商品を購入したいという「潜在的ニーズ」がある。
生保営業の中国人はウィーチャットなどのSNSを駆使して生保商品を販売し、好成績をあげている。つまり、売り手も買い手も中国人だ。
【後編】では、急増する中国人営業社員のメリットとデメリットを紹介する。
取材・文:中島恵(ジャーナリスト)
