「子育ては失敗です…」月収70万円・82歳母、“家政婦扱い”の老後に絶望。手取り月収21万円「実家暮らし息子(62)」が放った〈まさかのひと言〉
高齢の親が、同居する子どもの生活費を負担しているケースは珍しくありません。内閣府の「高齢者の経済生活に関する調査結果」によると、子と同居している高齢者の約半数が「子や孫の生活費を負担している」と回答しています。都内でアパートを経営するサチコさん(仮名・82歳)も、月収70万円という収入がありながら、実家暮らしの長男・ジンさん(仮名・62歳)の世話に追われる日々を送っています。経済的に恵まれているはずの家庭で、なぜ親がここまで追い詰められてしまうのか。
「甘やかしすぎた結果です…」月収70万・82歳母が「62歳息子」と同居生活
「お金に余裕があったからと、息子を甘やかしすぎた結果です……」
都内でアパートを経営する大家のサチコさん(仮名・82歳)。毎月約55万円の家賃収入と、亡き夫の遺族年金などを合わせた約15万円の年金があり、月に70万円ほどの収入があります。
経済的には不自由ない生活を送っていますが、その表情はいつも疲労で霞んでいます。原因は、同居している未婚の長男・ジンさん(仮名・62歳)の存在です。
ジンさんは地元の企業で事務職として働いており、毎日定時で帰宅する負担の少ない仕事をしています。毎月の手取り21万円ほどの給料はすべて自分の趣味や小遣いに消え、実家には生活費を1円も入れていません。それどころか「仕事で疲れている」という理由で、家事は一切手伝おうとしません。
さらにジンさんは「65歳の定年まであと3年働けば、あとはこの家で年金暮らしができる」と公言し、このまま実家に同居し続ける気満々だったのです。
「定年まで最後の踏ん張りどころだから」家事を一切手伝わない息子の言い分
サチコさんは数年前から足の関節を悪くしており、室内を歩くのにも一苦労。それでも「息子は外で働いているのだから」といい聞かせ、重い洗濯物を持ってベランダに出たり、毎日の買い出しから食事の支度までを一人で担い続けたりしてきました。
しかし、80歳を過ぎた体に限界が訪れます。最近になって足の痛みが悪化し、長時間の家事や毎日の買い物に出ることが困難になってしまったのです。
見かねた長女のレイコさん(仮名・59歳)が週末に実家へ立ち寄り、サチコさんたちのために一週間分の食材の買い出しや、作り置きのおかずを準備してくれるようになったといいます。
レイコさんが「お母さん、足が悪いんだよ? 毎日定時で帰ってくるんだし、せめて自分の洗濯やゴミ出しくらいしなよ」とジンさんを咎めても、「こっちは定年までの最後の踏ん張りどころなんだよ。家事なんかやってられない」と聞く耳を持ちませんでした。
ベッドから起き上がれない母…62歳息子の〈まさかのひと言〉に絶望
ある日、サチコさんの足の痛みが悪化して、ついにはベッドから起き上がれなくなってしまいました。レイコさんもその日は用事で来られないため、ジンさんに「今日は何もできないから、自分のことは自分でやってほしい」と頼みました。
しかし、ジンさんの口から出たのは、ベッドで横になっているサチコさんを気遣う言葉ではありませんでした。
「洗濯できてないのかよ、明日仕事で着ていくワイシャツがないじゃないか」
その不満げな言葉を聞いた瞬間、サチコさんは絶望感を覚えました。これまで育ててくれた母親が痛みで苦しんでいるのに、還暦を過ぎたジンさんは自分の身の回りの心配しかしていないのです。
それでもサチコさんは、息子を家から追い出すような強硬手段に出ることもできず、今も足を痛めながら、実家での同居生活を続けています。
十分な収入があり、お金に困っていなかったからこそ、実家で息子を甘やかしてしまったという後悔。
「80歳を過ぎて、定年待ちの還暦息子の世話に追われる毎日。子育ては完全に失敗です……」
サチコさんは、アパートの住人や知り合いと顔を合わせるたびに、ジンさんについての愚痴をこぼすそうです。
データで見る「実家で暮らす子」の生活費の実態
サチコさんのように、社会人になっても実家から独立せず親に依存し続ける子について、内閣府の資料では、親の世帯から独立すると家計費がかかり生活水準が低下することを避けるための「パラサイト・シングル」という概念で指摘されています。
「家にお金を入れていないのはうちの息子だけではないか」と悩むサチコさんですが、実は高齢の親が子の生活費を負担しているケースは驚くほど多いのが現実です。内閣府の「令和6年度 高齢者の経済生活に関する調査結果」によると、「子や孫の生活費を負担している(ほとんど負担+一部負担)」と答えた割合は、全体では25.2%ですが、「子と同居している人」に限ると 49.8% にも跳ね上がります。
実家暮らしの未婚の子から生活費をもらうどころか、親側が生活費をすべて負担してしまっている家庭は、同居世帯の約半数に上るのです。
さらに深刻なのは、サチコさんのように身体の自由が利かなくなった際の「家事負担」です。同調査で「今後の経済生活に当たって必要だと考えるサポート」を尋ねたところ、「身の回りの生活支援」を挙げた人は全体で52.8%に上りますが、サチコさんと同じ「80〜84歳女性」に限ると62.9%に達し、多くの高齢女性が日常生活のサポートを求めていることがわかります。
「お金に困っていないから」と実家というぬるま湯で息子を甘やかし続けた結果、定年を目前にした60代のジンさんは家事も生活費も親任せの「完全なパラサイト」と化してしまいました。
最も身の回りの支援を必要とする80代になって、逆に還暦息子の世話という過酷な労働を強いられ、心身ともにすり減っていく。この事例とデータは、親の経済的な余裕と見通しの甘さが引き起こす「8060問題」の実態を示唆しているといえそうです。
[参考資料]
内閣府「結婚行動の経済分析(2025)」
内閣府「令和6年度 高齢者の経済生活に関する調査結果」
