(時事通信フォト)

写真拡大

「世間からは『焦りすぎでは?』との声が聞こえてきています。比較的現実味を帯びていた『女性皇族が結婚後も皇族の身分を保持する案』の合意をはずみとして、その先の議論を進めるシナリオかと思いますが、強引に集約しようとしている印象は否めません」(皇室記者)

【写真】「春の園遊会」でりくりゅうペアと歓談される愛子さま。他、可愛らしい印象を与えるピンクのセーター姿の愛子さまも

 4月15日に皇族数確保策に関する全体会議が約1年ぶりに再開されてから1か月足らず、議論が急加速している。5月12日には、中道改革連合が党見解を決定し、主要政党の主張が出揃った。そして、15日にも各党各会派が集う全体会議が開かれることが決まっている。
「たしかに、皇族の減少への対応は喫緊の課題です。2005年、小泉内閣の『皇室典範に関する有識者会議』で『女性天皇・女系天皇を容認、継承順位は直系長子優先』という報告書が提出されたものの、2006年に秋篠宮家の長男・悠仁さまが誕生したことで、議論は一旦白紙に。それから約20年間、皇族数の確保を巡る議論は棚上げされてきました。この"宿題"に、なるべく早く決着をつける必要はある」(同前)

女性天皇の実現は…

 4月中旬には、自民党・麻生太郎副総裁が「死活的な課題だ。今国会中に皇室典範改正を実現することが何よりも求められている」と訴えていた。しかし、冒頭に述べたような指摘も上がっている。

「麻生副総裁は、"男系男子による皇位継承の堅持"をリードしてきた方。国民からは、女性天皇についても議論するべきだとの声もあがっていますが、そちらについては"眼中にない"と思われます。

 また、ほとんどの主要政党が『女性皇族の身分保持』案に前向きな姿勢を見せていますが、愛子さまや佳子さまなど、女性皇族たちの人生に及ぼす影響と無関係なところで議論が進められている感は否めません」(同前)

 思い出されるのは、2024年の秋篠宮さま59歳のお誕生日に際して開かれた記者会見でのお言葉だ。

「秋篠宮さまは記者会見で、『皇族は生身の人間』と発言。制度の変更によって当人たちがどういう状況になるのか、どういう考えを持っているかということを、少なくとも宮内庁は理解しておく必要がある、と述べられました。また翌年には公務の担い手が減少していることについて、『全体的な公的な活動の規模を縮小するしか、今はないのではないか』とも述べられています」(同前)

「女性皇族の身分保持」案については、「女性皇族は婚姻後に身分を保持するか否か選択できる」案も出てきている。しかし、事実上の"無形の圧力"となってしまう懸念もある。

「結婚を含め、人生の選択は本来、ご本人の意思に基づくものです。しかしこのままでは、議論の帰結として、担い手である皇族個人に『国のために皇室に残るか?』『個人の自由を取るか?』という二者択一を迫るという犠牲を強いる形にもなりかねません」(同前)

「血の通った議論を」

 皇室ジャーナリストの神田秀一氏は、「慎重かつ血の通った議論が求められるべき」と述べる。

「皇室の基本的な考えは『国民と共に歩む』ことにあります。しかし、現在の皇位継承や皇族数確保を巡る議論は、あまりに制度面の調整に偏りすぎているようにも映ります。そこには、明治以降の歴代天皇がどのような思いを持って歩んでこられたのかという視点が抜け落ちているようにも思えます。

 かつて昭和の時代には、毎週土曜の夜、吹上御所に上皇陛下や若かりし頃の今上天皇が参集される『定例ご参内』がありました。そこでは、活字や記録に残らない昭和天皇の『生の声』が語られ、皇室全体で共有されていました。

 このように連綿と紡がれてきた皇室としての考えをおざなりにしたまま議論を急いでは、どうしても皇室や国民との"ズレ"が生じてしまうのではないでしょうか。皇室の伝統的な考えを正しく受け継ぎながら、国民の気持ちを拾い上げて、そこから大きく脱線しないように進めていかなくてはなりません」(同前)

 重要な局面に突入しつつあるこの難題に、どう決着がつくのだろうか。