「おもんない、レベル低い」粗品の審査は『THE W』の救世主となったのか? パワハラNG時代に“本音”を言う価値
ファイナリストやネタ以上に、話題になったのが、M-1王者である霜降り明星・粗品さんの審査です。『第14回ytv漫才新人賞決定戦』(読売テレビ系)でも審査を担当し、その際も手厳しくも的確な評が話題になった粗品さん。
◆ただの感想ではなかった粗品の審査
Aブロック1組目の「もめんと」と2組目の「電気ジュース」の対戦後、さっそく話を振られた粗品さんは「ちょっと長くしゃべっていいですか?」と切り出し、圧倒的大差で勝利した「もめんと」に対し「大前提ウケすぎ。そこまで面白くなかったです」。
票を入れた電気ジュースに対しても「全く漫才になってない。ラジオとかXの一言ネタの羅列の発表会や」と辛らつな評価で会場を凍らせました。バラエティ的なノリで「もう黙ってくれやお前!」と突っ込んださらば青春の光の森田さんに対しても「スカしたらあかんで」と諭すなど、期待通りの粗品節。
しかし、その審査はただの苦言や感想ではなく、ウケなかった理由の分析や具体的なアドバイスまでしており、真面目に審査に向き合い、『THE W』や、お笑いへの熱い思いがひしひしと伝わるものでした。
◆格落ち感のあった『THE W』
『THE W』は、『M-1グランプリ』(テレビ朝日系)『キングオブコント』(TBS系)『R-1グランプリ』(フジテレビ系)というゴールデンタイムに放映される賞レースに比べ、どこか格落ち感が強い印象があります。
M-1で2回戦落ちのコンビ(グループ)や、芸歴やコンビ歴が浅い芸人さんがぞろりとファイナリストに名を連ね、実績、知名度とともに、他の賞レースとの差が歴然だからからです。正直、粗品さんの言葉を借りれば「おもんない、レベル低い」部分がありました。
◆ほか審査員からも零れた本音
にもかかわらず、バラエティとしての体裁をとるためか司会やサポーター、演出で無理やり盛り上げて進行。その上、2択投票後の審査員の講評も、「どちらも面白かった」「最後まで迷った」と褒めてばかり。明らかにひと笑いも起きなかった芸人さんに対しても、厳しい講評を耳にすることはありませんでした。
しかし、それも去年までのことです。粗品さんが審査員に就任したことにより、ふんわりとした誉め言葉ばかりだった審査に、新しい風が吹きました。
追随するかのように、哲夫さんも、とんでもあやさんに対して「わけがわかりませんでした」とバッサリ。友近さんも紺野ぶるまさんへの評の中で「面白いところを探すんじゃなくて、(紺野さんのネタは)ちゃんと面白い」と、他の女性芸人のネタへの辛辣な感想がポロリと出ていました。
楽しいお遊戯会だった今までの大会とは違い、ちゃんとした賞レースになっていた本年。最終決戦が実績実力十分の3組だったことがそれを表しています。粗品さんがXやYouTubeで「俺がTHE Wを救う」と宣言した通り、近年ではもっとも視聴者満足度の高い大会になったのではないでしょうか。
◆パワハラに厳しい時代、苦言は賞レースの花?
スパルタ的発想や、カスハラ、パワハラが社会問題となり、他人に対して厳しい指摘や苦言を呈することがしにくくなっているこの時代。一般社会だけでなく、昨今のお笑い賞レース審査の場でもその風潮が現れていました。
SNSによって番組放送後、視聴者から審査員が審査され、批判されることも多くなり、実績のある審査員でも、テンプレのような評しか聞けない賞レースが続いていたことは確かです。

