「引き下げ」論議について、ライブドア・ニュースの取材に応じるNPO法人「Rights」の菅代表理事(撮影:常井健一)

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第166通常国会が25日、召集された。安倍晋三首相率いる政府と与党が重要視する法案のひとつに、憲法改正の手続きを定める「国民投票法案」がある。実務者レベルでは投票年齢を「原則、18歳以上」にする民主党案に与党が歩み寄り、春の大型連休前にも成立するという観測もある。同法案では成人年齢をめぐって「20歳以上」と定めた公職選挙法や民法などの見直しを検討するという付則が盛り込まれる見通しで、「何歳からオトナ?」という根本的な議論もからんでくる。

 なぜいま成人年齢引き下げ論議か。17歳から子どもの権利条約の批准を求める活動に取り組み、7年前から選挙権年齢の引き下げ運動を続けるNPO法人「Rights(ライツ)」の菅源太郎代表理事(34)に聞いた。

── なぜいま、18歳以上に投票権を与える議論が浮上しているのか。

 1970年前後に少年法改正論議や欧米各国での選挙権年齢引き下げ実現を背景に旧自治省が世論調査を実施するなど多少議論されたが、その後は低調だった。ただ2000年前後に小渕恵三首相(当時)の私的諮問機関「21世紀日本の構想」懇談会報告や新聞社説などで再び主張され、総選挙でも自民党を除く各党が民法・少年法と一体での引き下げを公約した。そして今日は憲法改正、国民投票法案の投票権年齢をめぐる与野党の議論が大きな背景となっている。

── 国民投票法に合わせて、「成人=18歳」に一元化させる動きもあるが。

 選挙権・被選挙権年齢引き下げは公職選挙法の改正で実現する。私たちの活動では民法や少年法の成人年齢と必ずしも一致しなくてよいと考えている。成人年齢を据え置いたまま選挙権だけを18歳に引き下げたドイツを参考にしている。ただ世論には民法と少年法をそろえたほうが理解されやすいようだ。国民投票法案の議論を契機に実現可能性は高まっていると感じる。

── 投票年齢引き下げることで、若者の政治参加を促す効果は本当にあるのか。

 意識と制度はクルマの両輪だと思う。若者は政治に無関心だと言われるが、内閣府の青少年意識調査(2004年)でも政治への関心は上昇しているし、2005年の総選挙の投票率も同様だ。NPO活動や公開討論会・議員インターンシップに参加する若者も増加している。もちろん政治教育の充実は急務だ。制度の説明に終始する教育内容を見直して、現実の政治課題を議論する必要がある。

── 実現されると「オトナ」の定義にどう影響する。

 「オトナ」だから政治的権利を保障するのではないということ。未成年から政治的教養を身につけなければ、選挙権や被選挙権を得ても十分に行使できない。

── 若者は世の中の動きに対してどのような意識を持ってほしいと思うか。

 自分が考えたって、動いたって変わらないとあきらめないでほしい。私は高校を中退したが17歳のときに子どもの権利条約の批准を求める活動を始めて、多くの同世代とも異世代(大人)とも友人になって4年後に実現した。若者が政治に関心をもたなければ、政治も若者に関心をもたないと思う。今年は統一地方選挙や参議院選挙が行われる。公開討論会などに参加して候補者の主張を比較してみるのも面白いのではないか。

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解説・若者をオトナにする?18歳からの政治参加

 実は、国の基本法・日本国憲法では選挙権を有する“オトナの定義”を具体的に定めているわけではない。15条3項で「公務員の選挙については、成年者による普通選挙を保障する」としているが、「成年」の年齢は明記されていないのだ。実際には、憲法44条「両議院の議員及びその選挙人の資格は、法律でこれを定める」を受けて、公職選挙法9条1項が選挙権年齢を「満20年以上」と定めている。これによって、憲法上の成年とは満20歳以上を意味すると解釈されている。

 そもそも明治政府が作った当初の選挙権とは、「25歳以上」の男性、しかも高額納税者のみに与えられた権利だった。(次のページにつづく)■関連リンク
NPO法人 Rights
『16歳選挙権の実現を!』(livedoor ブックス)