AFX通信によると、米金融大手ゴールドマン・サックスの世界経済調査部門責任者のジム・オニール氏は15日、ロンドンで行われた世界戦略会議のなかで、今年のドル相場の見通しについて、米国の経済成長の減速に加え、FRB(米連邦準備制度理事会)による利下げで、穏やかな下落基調となると予想した。

  同氏は、米国の債券や株式に向いていた投機資金の流れに弱含みの徴候があるとし、ドルは対ユーロで昨年末の1ユーロ=1.30ドルから、今年末には同1.32ドルに下落するとの予測を示したが、「これは他の有力経済圏にとっては米国経済への依存を弱めることとなり、世界経済にとってはむしろ好ましいことだ」と語っている。また、ドル軟化の要因として、FRBの利下げを指摘。景気の鈍化やインフレの落ち着きを背景に、FRBは今年、政策金利を3回引き下げ、現在の5.25%から4.50%の水準まで調節すると予想した。

  一方、輸出に著しい伸びが見え始めており、ドル安のトレンドは貿易赤字の改善を支援するものになると指摘した。

  米国以外の経済動向については、中国は企業の収益力がはっきりとした改善をみせており、景気が減速する徴候はないと指摘。日本では、雇用や企業景況感が回復し、非製造業部門まで景気回復が波及し、内需回復の徴候となっていると分析した。また、ドイツについては、「東西統一によって生じた(格差などの)問題を解決し、競争力を高めたことで、景況感が大きく改善した。これはより強い成長につながる」と、今年も好調なユーロ経済圏をけん引するものと予測している。 【了】