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 家庭で出たゴミを回収してもらうために、無くてはならないゴミ袋。自治体によって色が決まっていたり、指定の袋が販売されていたりとルールはさまざまですが、大阪府八尾市では指定の「家庭用ゴミ袋」を市民に無料配布しています。市民にとってはありがたい施策。費用の元はもちろん税金で、年間1億円以上の予算が使われています。 しかし、そんな「税金で配られたゴミ袋」をめぐり、「転売」が横行していて問題となっています。フリマサイトに大量に並んだ転売商品…いったい誰が出品し、誰が購入しているのか?また転売自体に問題はないのか?ゴミ袋をめぐる問題を取材しました。

市民「すごく助かっています」八尾市の家庭用ゴミ袋は半年に一度無料配布

 午前9時、八尾市の住宅街では、軒先に出されたゴミ袋が作業員によって手際よく回収されていきます。

 八尾市では、指定の「家庭用ゴミ袋」を市民に無料配布しています。半年に一度、町内会の班長などが一軒ずつまわり、世帯の人数に計3種類のゴミ袋を配ります。

 (八尾市民)「無料でいただいているので、すごく助かっています」
 (八尾市民)「よその市なんか聞いたら、有料というところが多いですからね。助かりますよ」

 指定のゴミ袋でなければ回収してもらえませんが、足りなくなれば無料で追加がもらえます。

 しかし、このゴミ袋が、フリマサイトで転売されているというのです。

元は税金で無料のはずのゴミ袋 なぜかフリマサイトで出品100件以上 記者がコメントを送ると…?

 記者がフリマサイトを調べてみると…

 (記者リポート)「八尾市ゴミ袋50枚セット、基本セット、300円であったり、1080円であったり、500円。たくさん売られています」

 出品の説明文には「八尾市のゴミ袋ピンク、青もあります」「受け渡し場所はローソンでお願いします」などの記述が。

 別のフリマサイトでは、100件以上の出品が確認できます。100枚セットで3180円するものもあり、すでに売り切れています。

 無料配布事業にはもちろん市民の税金が使われています。昨年度はゴミ袋の製造と配送に、約1億7000万円が予算計上されました。

 ゴミ袋には「転売禁止」と書かれていて、市は不要になれば返却するよう求めていますが、あろうことかそれが利益の対象となっていました。

 記者が「出品者に話が聞きたい」と商品ページにコメントすると、やましい気持ちがあるのか、出品は残したまま記者のコメントが削除されてしまいました。

なぜ転売?誰が何のために購入?八尾市民「なんで売るのか分からない」

 八尾市民なら無料でもらえるゴミ袋。いったい誰が出品し、誰が購入しているのか。

 (八尾市民)「なんで売るのか分からない。タダでもらえるのに」
 (八尾市民)「若い一人暮らしの人とかかな。なんでもお金出したら済むという感覚」
 (八尾市民)「なんででしょうかね…。市役所やコミュニティセンターに行ったら無料でくれるんです。行くのが面倒だから買うんですかね?」

 市民に聞き込みを続けましたが、明確な手がかりは得られませんでした。

対策の現状は?市議会でも問題視

 転売問題は、八尾市議会でも取り上げられています。

 (柴谷匡哉 八尾市議会議員)「税金を投じて無料配布しているゴミ袋が、営利目的で販売されている。このような不正転売について、市としてどのような対策を講じていくのでしょうか」

 問題を追及する柴谷匡哉議員は質疑のなかで、事業者が、本来使うことはできない指定の「家庭用ゴミ袋」でゴミを出しているのを目撃したと話します。

 (柴谷匡哉議員)「建設事業者の作業員の方が、自分たちの食事から出たゴミとかね。フリマで買った八尾のゴミ袋に入れて捨ててたんですよ」

 これに対して市は…

 (八尾市 植島康文副市長)「フリマアプリなど、運営会社への出品の差し止めの依頼を実施をさせていただいておりますが、現状としては全てを差し止めることができていないという実情がございます」

市議「一部の事業者が『事業用ゴミ』を出すために購入しているのでは」

 議会終了後、柴谷議員に話を聞くと…

 (柴谷匡哉議員)「僕が確認したところでは、産廃や事業系のゴミを捨てたりとかして、違法なゴミの処理のしかたをしている、捨てているというところで非常に問題だという形で追求させていただきました」

 柴谷議員が考える構図はこうです。

 八尾市民であれば、無料で配布される「家庭用ゴミ袋」。しかし事業者が出すゴミについては、「事業用」のゴミ袋を1枚100円で購入するか、個別で民間の回収業者と契約する必要があります。

 これらの費用を浮かせたい一部の事業者が、「家庭用ゴミ袋」を購入し、事業ゴミを袋に入れて捨てているのではないかというのです。

そもそも無料のゴミ袋を転売して良いのか…? 専門家「出品側には法律上問題なし」

 市は複数の事業者が家庭用ゴミ袋を使用した事例を把握しているということですが、事業者が使うことに問題はないのでしょうか?消費者問題に詳しい弁護士に話を聞きました。

 (岡田崇弁護士)「事業者がこれを買って事業用のゴミを出しているということですが、本来、八尾市からすればそれは違反です。だから、それは不法投棄になるので、廃棄物処理法に違反する可能性はあるかもしれません」

 事業者が家庭用ゴミ袋を使ってゴミを出すことは、「不法投棄」にあたる可能性があると指摘しました。

 一方で、出品する側に法律上の問題はないといいます。

 (岡田崇弁護士)「今の配布方法だったら『ゴミ袋が足りないです』と言ったらいくらでも袋がもらえるわけです。ただしそれを他の人に渡したりとか、転売したりとか、そういったことは自由です。税金の無駄遣いかもしれませんが、それは八尾市民が決める話です」
         「八尾市が市の条例で『こうした転売は違反ですよ、罰則で禁止しますよ』ということをすれば良いと思います」

 八尾市は、「転売を禁止する条例」については検討中としたうえで、転売を控えるよう引き続き市民に呼びかけていく方針です。

 (八尾市 循環型社会推進課長)「しっかりと対応できる部分については検討していきたいし、法的にどこまで対応できるかについても、現状、専門家と協議をしているところ」

 血税でまかなわれているゴミ袋の無料配布。みんなが納得できるサービスにするには、市と市民、それぞれが転売について考える必要があります。