海外不動産投資家の宮脇さき氏が語る“安全資産の幻想”　スイスフラン時代に必要なのは“現物資産”への分散投資

海外不動産投資家の宮脇さき氏が、自身のYouTubeチャンネルで「金融危機に備えてやるべきことは？富裕層が密かに注目する投資先について紹介します！」と題した動画で、日本円の現状と投資先についての独自見解を語った。

動画冒頭、宮脇氏は「有事の際の円とスイスフランと呼ばれるぐらい、日本円とスイスフランは並び合うような安全資産だと言われていた」と述べつつ、現在ではその常識が大きく変わっていると指摘。今や「安全資産として買われているのはスイスフラン」、「日本円が安全資産という神話が崩壊してきた今、円を売ってスイスフランを買うべきなのか」という問いを投げかけた。

なぜスイスフランだけが評価されるのか。その理由について宮脇氏は「国家そのものが安全資産であり、スイスは200年以上戦争に巻き込まれていない」「スイス国立銀行は通貨高をインフレ抑制の武器として使いこなせる」と述べ、強固な財政・政治の安定性と、時に大胆な中央銀行の政策運営が投資家の安心感につながっていると語った。

一方、日本円が弱体化している要因について、宮脇氏は3つの構造問題を挙げる。1つ目は「稼ぎ方の構造転換」で、「日本は以前は貿易で円需要が生まれていたが、いまや投資所得が中心で、海外で稼いだお金が日本に送金されず、円買いが発生しにくい」と解説。2つ目は「デジタル赤字」で、世界的なプラットフォームやAIサービスへの支払いで「6.85兆円ものデジタル赤字が生じ、為替レートでは是正できない円安圧力になっている」と現状を説明。3つ目は「エネルギーと巨大債務問題」で、「日本はエネルギーをほぼ輸入に頼り、巨額の政府債務により金利も上げづらく、円安スパイラルが加速している」と切り込んだ。

円売り・スイスフランや他通貨買いが進む中で、「今預けている円を全てスイスフランに変えた方がいいのか？」との疑問には、「焦って円を全部売ろうとするのではなく、ポートフォリオ全体を見直すべき」と冷静な判断を促す。日本円やスイスフランなど特定の通貨だけへの依存はすでにリスクで、「もはや通貨は国家の信用で成り立つ幻想のようなもの。普遍的な価値を持つ現物資産を持つべき」と現代投資の新常識を語った。

具体的な現物資産として、宮脇氏は「東京など都心一等地の不動産」「希少なアート作品」「超高級腕時計」などの他、伝統的な「ゴールド」や「アンティークコイン」も例に挙げ、「現物資産を組み入れた多様なポートフォリオは、インフレや通貨暴落への究極のヘッジになる」と力説する。

動画の終盤では「日本円をどこに・どのように動かすか焦るのではなく、まずは全体の資産設計やライフプランから見直すこと」を強く推奨。「日本円神話に依存しない現実的な資産分散が、これからの時代の重要な策。」とメッセージを送り、動画を締めくくった。