女性のみならず男性も、今年の夏は多くの人が日傘をさして紫外線対策をしていました(写真:今井康一撮影)

【写真】あなたは大丈夫? 「紫外線ダメージ」を加速させる《NGケア》と、ドラッグストアで買えるケアグッズ

記録的な猛暑が続いた2025年の夏。9月に入った現在も、30度超えの厳しい暑さが続いています。

この夏、猛暑に加えて少雨の影響もあり、例年以上に太陽の日差しを浴びてしまい、紫外線ダメージを受けたという人も多いのではないでしょうか。

いまだ過酷な日差しが降り注ぐ中、「真夏が終わったら、もう日焼けの心配はない」と油断するのは禁物。

「日焼け止め」は1年中塗るべき、というのはもはや常識になりつつありますが、うっかり日焼けしてしまった際に、ダメージを最小限に抑えるためにはどうすればいいのでしょうか?

近畿大学医学部皮膚科学教室主任教授であり、皮膚科専門医の大塚篤司氏は「9月でも紫外線は十分強く、日焼け対策やダメージケアを怠ると深刻な肌トラブルにつながる」と警告します。

秋になった今だからこその適切な日焼けケアについて、専門医のアドバイスをもとに詳しく解説します。

10月でも「日焼けリスク」がある

気象庁のデータを見ると、9月のUVインデックス(紫外線が人体に及ぼす影響の度合いを指標化したもの)は平均5.5と「中程度〜強い」レベルに分類されます。10月でも平均3.6と「中程度」で、まだ十分な紫外線対策が必要な状況です。

大塚氏は「UVインデックス3以上で日焼けリスクがあり、環境省も日中の外出時には日焼け止めの使用を推奨しています。『秋だから安心』という考えは危険な誤解です」と指摘します。

日焼けによる「深刻な健康リスク」


夏に「こんがりした日焼け肌」を目指す人もいる中、日焼けの何が問題なのでしょうか。

「『たかが日焼け』と軽視してはいけない」と大塚氏は美容への影響だけでない、深刻なリスクについて警告します。

日焼けを放置すると、皮膚細胞のDNA損傷が蓄積し、皮膚がん(メラノーマ、基底細胞がん、有棘細胞がん)発症リスクが2〜3倍に増加します。

特に20歳未満での重篤な日焼けは、将来の皮膚がんリスクを大幅に高めることが報告されています。

また、急性症状として脱水症状や細菌感染、慢性影響として免疫機能低下、光老化(コラーゲン破壊による深いシワ・弾力低下)、白内障のリスク増加もあります。光線過敏症や日光角化症(前がん病変)の発症リスクも高まります。

夏の間、たっぷり日焼けをしてしまった肌のケアには、何を使ったらいいのでしょうか。ドラッグストアで手軽に購入できるアイテムの中から、大塚氏がおすすめを紹介します。ポイントは、成分で選ぶということ。

ドラッグストアで買える!「おすすめスキンケアアイテム」

キュレル 「ディープモイスチャースプレー」2750円(税込み)

セラミド機能成分が配合されているため、紫外線ダメージで乾燥し、バリア機能が低下した肌を健やかな状態に整えます。スプレータイプなので、外でも手軽に使用できます。医薬部外品で子どもにも使用できる低刺激の化粧水です。


(画像:花王公式サイトより)

イハダ 「薬用バーム」1485円(税込み)

抗炎症成分グリチルレチン酸ステアリルを配合しており、日焼け後の炎症に効果的です。炎症を放置すると、シミやシワ、ハリの低下といった肌トラブルや老化を招いてしまいます。低刺激設計で敏感肌の人も使用できます。


(画像:資生堂「イハダ」公式サイトより)

資生堂 「カーマインローション」385円(税込み)

粉末が配合された化粧水で、日焼け後のケアアイテムとして長年愛用されている定番商品です。日焼けをしたら火照りを鎮めることが推奨されますが、本製品はそのための収れん化粧水。火照りを抑え、サラサラの肌にします。


(画像:資生堂公式サイトより)

日焼けによる「ダメージの蓄積」を防ぐ方法

「ケア用品を選ぶ際はアルコールフリー・無香料・低刺激設計を重視してください。日焼けにいいとされるアロエを配合した製品は、接触皮膚炎のリスクがあるため注意が必要です」(大塚氏)

スキンケアと並行して、体の内側からのケアも欠かせません。基本的なインナーケアを実践することで、日焼けによるダメージの蓄積を防ぐことができます。栄養バランスの取れた食事と十分な睡眠も回復には不可欠です。

水分補給

日焼けすると脱水状態になりやすくなります。1日2L以上の水分摂取で脱水を予防したいところです。

抗酸化成分の摂取

紫外線によって生み出される活性酸素は肌細胞を傷つけるため、それが老化を促進させる原因となります。ビタミンCやリコピン、βカロテンに抗酸化成分が豊富に含まれているので、下記のような食物を摂ることが大切です。

・ビタミンC(キウイ、いちご、ブロッコリー)
・リコピン(トマト、スイカ)
・βカロテン(人参、かぼちゃ、ほうれん草)

肌の修復をサポートする成分の摂取

良質なタンパク質(鶏肉、魚、大豆製品)とビタミンE(アーモンド、アボカド)で細胞の修復と保護を促します。

サプリメントの活用

シミの原因となるメラニン色素の生成を抑えるには、L-システインとビタミンCがいいとされています。市販サプリでは、「ハイチオールCホワイティア」や「トランシーノホワイトCクリア」などの第3類医薬品が効果的。ただし、服用前は薬剤師に要相談です。

秋にうっかり紫外線を浴びてしまったら…

これから到来する行楽シーズン。気温は少し下がってきても、前述の通り紫外線は依然強い季節です。もしも油断して日焼けをしてしまった場合、適切な応急処置が重要です。大塚氏によると、「日焼け後は即座に冷却が最優先」とのこと。

具体的な方法は以下の通りです。

・冷たいシャワーや濡れタオル、保冷剤を包んだタオルで患部を10〜15分程度冷やす
・痛みが強い場合は、イブプロフェンなどの非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)で炎症を抑制
・こまめな水分補給で脱水を予防
・セラミドやヒアルロン酸配合の低刺激保湿剤を使用

「水疱ができても潰さず、清潔を保って自然治癒を待ちましょう。発熱・悪寒・広範囲の水疱がある場合は迷わず皮膚科を受診してください」と大塚先生は強調します。

「すでにスキンケアは十分にしている」という方も、よかれと思ってやっているケアが、実は逆効果になることもあります。美容や健康に詳しい人ほど、過剰なケアをしがちです。

「紫外線ダメージ」を加速させるNGケア

日焼け後のデリケートな肌に“攻めのケア”はなるべく避けたほうが得策。大塚氏は以下を「NG行為」としてあげています。

・氷の直接接触
・水疱を潰すこと
・皮が剥けている部分を無理に剥がすこと
・熱いお風呂やサウナ
・締め付けの強い衣類の着用
・精製度の低い油分製品の使用(高純度白色ワセリンなど医薬品レベルを選択)
・アルコール系化粧品の使用
・スクラブ洗顔
・日焼け直後のレチノール系化粧品、ケミカルピーリング成分のAHA/BHAを配合した美白化粧品の使用

「これらの行為は炎症を悪化させたり、感染リスクを高めたりする危険性があります。肌が落ち着くまでは刺激の強いケアは控えましょう」(大塚氏)

9月に入っても紫外線は依然として強く、夏のダメージケアを怠ると深刻な肌トラブルや健康リスクにつながる可能性があります。

「SPF30+の日焼け止めと帽子での防護を継続し、積極的な保湿ケアで夏のダメージをリセットしましょう。今からでも遅くありません。適切なケアで健やかな肌を取り戻すことができます」(大塚氏)

さらに問題なのは、気温低下に伴う肌の乾燥です。季節の変わり目は肌のバリア機能が最も不安定で、夏に受けたダメージの修復が困難になることも。「ケアを怠ると、冬の乾燥で深刻な肌トラブルを招くおそれがあります」と大塚氏は指摘します。

秋の入り口である9月こそ、夏に受けたダメージと向き合い、適切なケアを始める絶好のタイミング。まずは手軽に始められることから意識してみてはいかがでしょうか。

(岡部 のぞみ : ライター・編集者・「ampule」ブランディングマネージャー)