完投勝利を挙げ、ナインとタッチを交わす森下(右)=撮影・中島達哉

写真拡大

 「日本ハム2−6広島」(13日、エスコンフィールド)

 北の大地で投げ勝った!広島の森下暢仁投手(27)が9回10安打2失点で今季2度目の完投勝利を挙げた。前回登板で7登板ぶりの勝ち投手になると、そこからの連勝で5勝目をゲット。同い年の相手先発・伊藤大海投手に2年連続で投げ勝ち、勝負強さも際立たせた。エース道を歩む右腕が再び勢いに乗ってきた。

 敵地なのに設置された立派なお立ち台に上がった森下は開口一番、ファンに向かって“謝罪”した。「最後ばたついてしまってすみません!」。5点リードの九回に1点を失うも試合を締めると笑みがこぼれた。今季自己最多を2登板連続で更新する133球の熱投。「最後まで投げることができて自分自身次につながるかなと思います」と充実感を漂わせた。

 序盤はピンチで粘り、援護を受けてからは波に乗っていった。0−0の二回は1死一、三塁から山県のピッチャー返しのゴロをショートバウンドで好捕。素早く二塁へ送球して遊撃手・矢野とのコンビネーションで併殺を完成させ、グラブを強くたたいた。

 四回に坂倉、末包の適時打で2点を先制してもらってからは九回まで連打を許さない投球。「野手の皆さんがいい展開をつくってくれたので自信を持って投げられた」と感謝した。

 この日は同い年で2021年に開催された東京五輪でも共闘した伊藤との投げ合い。「大海に投げ勝つために初めて北海道に来た」。昨年は6月5日にマツダスタジアムで投げ合い、伊藤が7回3失点(自責1)、森下が8回無失点で投げ勝っていた。

 この日の試合直前に外野グラウンドですれ違った際には少しだけ言葉を交わした。猛烈に意識する相手に2年連続で勝利し、「本当に楽しみにしていましたし、ウチのチームがしっかりと点数を取ってくれたので、自分はその中でいい形で投げられて、良かったかなと思います」と大きくうなずいた。

 同い年というところでは、同期入団でもある石原と22年6月11日・西武戦以来となるバッテリーを組んだ。「回を追うごとにコミュニケーションを取りながら同じバッターに打たれないようにしようと話していた」。3年ぶりに組んだとは思えない息の合った作業で最後はガッチリと握手を交わして喜び合った。

 自身初見参のエスコンで快投し、「本当にいい思い出になりました」と笑顔。新井監督も「彼はまだ成長していかないといけないし、投げながら強くなっていっていると思う」と称賛した。チームも23年の開場以降、エスコンでは4戦全勝。北広島に鯉の“庭”はあった。森下の熱投が得意なイメージをさらに強固なものにした。