8回、阪神打線を無失点に抑える加治屋

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 「楽天3−2阪神」(13日、楽天モバイルパーク)

 感謝の17球だった。昨オフに阪神を戦力外となった楽天・加治屋蓮投手(33)が八回にマウンドに上がると、2三振を含む三者凡退とピシャリ。「ブルペンでは緊張していたけど、坂本の初球セーフティーの構えでほぐれました」。ホッとした表情は、次第に笑顔へと変わっていった。

 つながれたバトンを落とすわけにはいかなかった。六回から継投に入り、守り続けてきた1点がある。まずは坂本を三ゴロに抑えると、小幡、豊田を連続三振。「三者凡退で味方の攻撃につなぐことができて良かった」。チームの阪神戦5連勝に貢献した。

 これで16試合連続無失点、防御率1・74と安定した成績を残している。古巣との対戦も心待ちにする一方で、「冷静」なマインドを心がける。「カーブが抜けた時にブーイングが聞こえて、当てるわけにはいかない」と腹をくくってゾーン内で真っ向勝負に挑んだ。

 恩返しはまだ始まったばかりだ。「この3つが終われば日本シリーズまで対戦がない。いろんな打者と対戦して感想を聞いて、自分の成長にまたつなげていきたいです」。かつての仲間から得る学びも肥やしに、加治屋はさらに進化し続ける。