3回、二盗を決める森下(撮影・金田祐二)

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 「楽天3−2阪神」(13日、楽天モバイルパーク)

 阪神の森下翔太外野手(24)が3試合連続の先制適時打を放った。三回2死二塁から左前へはじき返して47打点目。並んでいた佐藤輝を抜き、リーグ単独トップに躍り出た。チームは4試合連続の逆転負け。背番号1の奮闘も勝利に結び付かないが、「切り替えてやります」と顔を上げた。

 この日も試合を動かしたのは、森下のバットだった。0−0の三回、2死二塁の好機で打席に入ると、直球に詰まりながらも思い切り振り抜いた。打球は左前に弾む、自身3戦連続の先制打となる適時打。杜(もり)の都に詰めかけた虎党を大きく沸かせた。

 「先制のチャンスだったので、打つことに集中して打席に入れました。しっかりコンタクトできましたし、得点につながってよかったです」

 この一打で、試合前の時点で並んでいた、チームメートの佐藤輝の一歩前に出た。47打点でリーグ単独トップに立った。さらに先制打の直後には、今季2個目となる盗塁を決め、チャンスを拡大。大山のタイムリーで追加点のホームを踏んだ。打って走って気迫のこもったプレーを見せた。

 ただその後は、悔しさが残る結果となった。五回の第3打席、七回の第4打席と、いずれも走者を置いた場面で凡退。追加点につなげることができなかった。1点を追う土壇場の九回には一打逆転の絶好機で回ってきたが、一本を出せなかった。

 楽天の守護神・則本から連打などで作った1死二、三塁のチャンス。球場は両軍への歓声が入り乱れ、この日、一番の緊張感に包まれた。外野フライでも同点の場面だったが、カウント2−0からの3球目。150キロの直球に差し込まれた。虎党の悲鳴の中、上がった力ない打球は一塁への邪飛。打った瞬間、バットを放り投げ、悔しさをあらわにすると、ベンチへ戻ってからも天を仰ぎ、表情は険しかった。

 前夜までの西武3連戦に続き、打線として4試合連続2得点以下。元気がない状態の中で、3番打者として3戦連続先制打と懸命に引っ張っている。それでも連夜の悔しい逆転負け。「切り替えてやります」と言葉少なく球場を後にした背番号1。連敗ストップへ、次こそはチームを勝利に導く一打を放つ。