9回、右飛に倒れ悔しがる佐藤輝(撮影・田中太一)

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 「楽天3−2阪神」(13日、楽天モバイルパーク)

 杜(もり)の都に虎党のため息が広がった。阪神が今季ワーストタイの4連敗を喫した。三回に森下翔太外野手(24)と大山悠輔内野手(30)の適時打で2点を先制したが、先発の村上頌樹投手(26)が6回3失点と踏ん張れなかった。4試合連続逆転負けは2006年以来19年ぶりで、楽天戦は23年から5連敗。藤川球児監督(44)は試合後、「(負の流れを)断ち切らないといけない」と2度繰り返した。

 悪夢の所沢から仙台に場所を移動しても、負の連鎖は止まらない。1点差の土壇場、九回2死二、三塁。佐藤輝の打球が右翼のグラブに収まると、杜(もり)の都の虎党からは大きなため息が漏れた。

 今季ワーストタイの4連敗。楽天戦は23年から5連敗。泥沼のスパイラルにはまりかけているとあって、藤川監督は「早く断ち切らないといけない」と2度繰り返した。4戦連続での逆転負けは06年8月22日・広島戦〜同25日・巨人戦以来、19年ぶりとなる屈辱。12度目の逆転負けは両リーグワーストタイとなった。

 連敗中はすべて2得点以下と、打線が振るわない。この日は試合前まで交流戦打率・350と好調の坂本を、プロ初の6番に抜てき。相手を上回る11安打を放ちながら、3点目が遠かった。

 それでも、土俵際の九回には執念のチャンスメーク。守護神の則本を相手に、糸原と近本の連打、中野の犠打で一打逆転の局面へ持ち込んだ。「形をつくるというのがすごく大事なので、継続してそれをやっていくと。あとはもう、そのうち結果はつながってきますから。それに尽きますね」と指揮官。試合を振り出しに戻すことはできなかったが、流れが変わる兆しがなかったわけではない。

 4月27日・巨人戦(甲子園)から5月1日・中日戦(バンテリン)にかけての前回の4連敗を止めた村上でも、チームに白星をもたらすことができず。唯一の踏ん張りどころとなった四回に、一気に逆転を許した。一死満塁から辰己の左犠飛で先制点を献上したが、左翼・森下は中継を選択せず、本塁送球間に二、三塁へのタッチアップを許した。

 傷口を広げた上で浴びた痛恨の逆転打。筒井外野守備・走塁コーチは「(打球が)風で流されてきた中で、本人は殺せると思って投げているんで、あの辺の精度はもうちょっと高めないといけないかな」と課題に挙げた。

 リーグ首位の勢いに乗って突入したはずの交流戦も後半戦を迎えた。一時は単独首位に立っていたが、これで5勝5敗。球団初の交流戦Vを目指すには正念場。悪い流れを断ち切って、再加速するしかない。

 ◆楽天戦5連敗 阪神の交流戦での楽天戦は23年6月8日から5連敗に。23年以降の勝敗は23年=●○●、24年=●●●、25年=●。

 ◆19年ぶり屈辱 阪神の4試合連続逆転負けは2006年8月22〜24日の広島3連戦並びに同25日の巨人戦以来、19年ぶりの屈辱。なお、今季12度の逆転負けは両リーグワーストタイ。