AFX通信によると、米製薬大手ファイザーは18日、ジェフリー・キンドラーCEO(最高経営責任者)が会長を兼任すると発表した。また、配当の引き上げもあわせて発表し、新薬の開発中止による株価急落の応急処置を施した。

  トップ人事は、来年2月に退任を予定していたハンク・マッキンネル前CEOが、自身の退職年金向けに8300万ドル(約100億円)を計画したほか、株価下落の責任を問われ、今年7月に退任時期を前倒しして以来、空席となっていた。

  一方、同社は今月2日、臨床試験で予想以上の被験者の死亡や心臓疾患発生が起きたとして、抗高脂血症薬「トルセトラピブ」の開発を中止していた。この影響で株価は下落を続けたため、同社では第1四半期の配当を1株当たり24セントから29セントに21%引き上げ、株主離れを食い止める策に出た。

  アナリストからは、益利回りが年率4.5%となり、株価対策としては一定の効果はあるとの見方が出ているが、抗高脂血症薬「リピトール」をはじめ主力製品が次々と特許切れを迎える中、市場では来年早々に示される抜本的な経営立て直し計画を注視する姿勢が強まっている。  【了】

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