宇良(右)を攻める伯桜鵬(撮影・佐々木彰尚)

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 「大相撲夏場所・6日目」(16日、両国国技館)

 平幕の伯桜鵬が宇良を寄り切り、無傷の6連勝を飾った。伊勢ケ浜部屋で照ノ富士親方(元横綱)の指導に心酔し「強くなっている」とさらに気持ちを高ぶらせた。綱とりの大関大の里は豪ノ山を押し出して6連勝。横綱豊昇龍は玉鷲を押し出し、大関琴桜は尊富士を寄り倒して、ともに4勝目を挙げた。関脇大栄翔、平幕の錦木が敗れたため、無敗は2人となった。

 自身の成長が楽しくて仕方ない。無傷6連勝の伯桜鵬は支度部屋で「全てがパワーアップしている。まだまだだけど、強くなっている」と、充実感いっぱいに話した。

 驚異の粘りを見せる宇良に危なげなかった。左を差して出方をうかがい、宇良が体をひねった瞬間に前に出た。腰を落とし、堂々と寄り切った。「土俵際を丁寧にできた。しっかりその日の準備が、全力でできている」とうなずいた。

 昨年4月、宮城野部屋から伊勢ケ浜部屋に転籍。豊富な関取衆にもまれた。今年1月、現役を引退した照ノ富士親方から「体の力が足りない。番数を増やし手を抜かないこと。しんどいがアウター(見た目)ではない相撲力、体の軸がつく」と指摘された。

 伯桜鵬は「その言葉を信じて確実に強くなれてうれしい。前は10番が限界、今は30番取れる」と稽古量に胸を張る。今場所はしこ名入りの浴衣を尊富士らに配るなど、部屋への愛着は強い。

 照ノ富士親方は「小細工で勝っても次につながらない」と意図を明かし、伯桜鵬を「相撲が上手。教えたことがすぐできる。器用で運動神経もいい」と褒めた。八角理事長(元横綱北勝海)は「伊勢ケ浜部屋でもまれれば違う。行ってプラスだ」と評価した。

 新入幕の2023年名古屋で11勝した逸材。左肩手術で足踏みしたが、5場所連続勝ち越しで自己最高位で臨む。21歳の若武者が台風の目になる。