わかりやすく言えば、おうち焼肉のレベルが格段に上がっているということ。実は牛肉を一頭買いするスーパーが増えていて、“肉がいいスーパー”に注目が集まるようになっています。

 例えば、テレビやネットニュースでもたびたび話題になるロピアやオーケーは、牛肉が自慢。ロピアでは4等級のオリジナルブランド「みなもと牛」などの牛を一頭買いし、希少部位までリーズナブルな価格で提供しています。

 オーケーでは歩留等級A、肉質等級4または5に格付けされた和牛 (黒毛和種) を、 一頭単位買い付けすることでより安価に販売することを強みにしています。

 この流れは他スーパーでも同様で、「肉が安くてウマいスーパーが令和の勝ち組スーパー」と言われるほど、スーパーにおける精肉レベルの向上には目を見張るものがあるのです。加えてスーパーのPB商品を中心に、コスパを重視しながらも、おいしい焼肉のタレが目立つようになっています。

◆調理家電も着実に進化している

 さらには、焼肉を焼くための調理家電も進化しています。煙の出にくい家庭用の無煙ロースターや、プレートの洗いやすさにこだわった商品が続々登場することで、おうち焼肉は着実な進化を遂げています。

 日本ならではの焼肉を愛する食文化は、時代とともに廃れているわけではありません。むしろ自宅でおいしい焼肉が食べられるようになっています。つまり、わざわざ外に食べに行く焼肉店には、価格競争に陥らない付加価値を追求していくことが今後ますます求められるでしょう。

 そういう点でもこれからの焼肉店の進化に注目をしていきたいところです。

<取材・文・撮影/食文化研究家 スギアカツキ>

【スギアカツキ】
食文化研究家、長寿美容食研究家。東京大学農学部卒業後、同大学院医学系研究科に進学。基礎医学、栄養学、発酵学、微生物学などを学ぶ。現在、世界中の食文化を研究しながら、各メディアで活躍している。女子SPA!連載から生まれた海外向け電子書籍『Healthy Japanese Home Cooking』(英語版)好評発売中。著書『やせるパスタ31皿』(日本実業出版社)が発売中。Instagram:@sugiakatsuki/Twitter:@sugiakatsuki12