Image: The Guardian

イタリアの保守派新聞Il Foglioが、AI生成記事のみで新聞を作成しました。AI100%新聞はこれが世界初

実験的試み

Il FoglioのAI新聞は4ページで、3月18日付けの火曜特別版にセットで配布されました。オンラインでも見ることができます。

この新聞、記者(人間)が手を入れたのは、AIチャットbotに質問することとそれを読むことだけ。Il Foglioいわく、AIがニュース編集部としてどこまで実用に足るかを見るため、かつ記者たちには未来のジャーナリズムにおいてテクノロジーが何を意味するのかを問うための、実験的な試みだったとのこと。

Il Foglio編集部のClaudio Cerasa氏はこう語っています。

完全に人工知能で作られた、ニューススタンドに並ぶ世界初の日刊紙となります。記事執筆も、ヘッドラインも、引用も、要約もすべてAIです。ときに出てくる皮肉な言い回しもです。

ジャーナリズムにおけるAI

ジャーナリズムにてAIが取り入れられた例は他にもあります。2023年、CNETがいち早くAI記事を採用。しかし、内容に正確性を欠くとして炎上。最近では、LA Timesが、オピニオン記事の偏見をチェックし、自動でその反論を生成するというツール「Insights」をリリース。しかし、KKK軽視が発覚しこれまた炎上、ツールは停止されました。

ジャーナリズムにおけるAI活用の難しさは、AIが「っぽいことを言うのが非常にうまい」ところにあります。真実味のあるもの、権威がありそうな雰囲気を作るのがうまいのです。これを改善するため、AIチャットボットの「思考」プロセスを向上させようという試みはあるものの、結局はまたそれっぽい自動システムにすぎず、単純に何かをゼロから作る難しさに直面してしまいます。

結果、個人利用はもちろん、ジャーナリズムという場では絶対に人の手によるチェックが不可欠。それがないと、新聞の信頼性は失われてしまいます。一方で、報道の現場も技術を取り入れる姿勢、実験は必要。たとえば、The Washington PostやBloombergでは、AI要約ツールを使用。AOLが所有するローカルニュースサイトPatchでは、ローカル版ニュースをAIツールが探す仕組みを取り入れています。

また、AIを取り入れざるえないという側面もあります。現代では、昔ほどメディアに価値を感じる人は多くありません。ニュースだけでなく、音楽も映画も、お金を払うことを望まない人が増えており、結果、制作側はコスト難が発生。そうなると削るべきは最も高コストの人件費…。

さて、人類とAIのうまいバランスはどこにあるのか。

Source: The Guardian

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