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人間の技術は一体どこまで進化するのでしょうか?

Nature Biomedical Engineering誌に発表された論文によると、アメリカ・日本・中国の研究者が共同で実験を行ない、3Dプリンタで生殖器を人工的に製造することに成功したのだとか。

なんと生殖行為も可能に

この研究では、陰茎の組織が損傷し、勃起不全に陥ってしまった男性器を持つブタとウサギを対象に、3Dゲルプリンターで製造した男性器の移植を行なったそう。

すると、この移植された男性器で交尾が可能になるまで機能が改善し、生殖行為も可能になったのだとか。

今回の研究では、まず男性器の先端部分である亀頭と、尿道を覆う内部組織であり、たくさんの血管が密集する海綿体のモデルを製造。

続いて、性行為に耐えられるように設計したゲル製のスキャフォールド(細胞培養に使用される「足場」)をこの海綿体を模した形で3Dプリントし、実際に損傷した男性器を持つウサギやブタに移植したと言います。

このスキャフォールドを移植する際、男性器として正常に機能させられるように、それぞれの動物が持つ内皮細胞も一緒に移植したそう。

ブタの男性器の写真。上から正常な男性器、海綿体に損傷のある男性器、内皮細胞の移植後2週間で修復した男性器の順で並んでいる。
Image: Wang et al / Nature Biomedical Engineering

すると、移植から数週間で勃起機能が大幅に改善。特に内皮細胞を移植した男性器に大きな修復が見られたのだとか。

しかも、この内皮細胞付きの男性器を移植されたオスはメスと繁殖行動を行なった際、100%の確率で妊娠できたことも確認されています。

男性器は生殖行為の際に必要な勃起を促すため、血管が密集している器官です。これまで男性器のほか、血管が密集するさまざまな器官の代替物をつくるため、数々の実験が行なわれてきましたが、なかなか成果が出ていませんでした。

研究に参加した科学者は、この技術の実現が今後の研究に役立てられる大きな一歩になった、と話しており、血管が密集した器官の代替物もつくれるようになる可能性があると説明しています。

ただ今回の研究は現状概念実証(PoC)の段階にあるため、さらなる研究が必要になるそうですが、今後はヒトの生殖器にもこの技術が応用できる可能性があるとのこと。勃起不全の仕組みを研究する際に活かせる可能性が高い、と研究者は説明しています。

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