XFN-ASIAによると、英米系信用格付け大手フィッチ・レーティングスのマシュー・コン氏(中国企業担当)は5日、顧客向けリポートの中で、中国車は国内市場で急速に浸透しているものの、世界市場で、外国の自動車メーカーと互角に競争するには、まだかなり時間がかかるとの見方を明らかにした。

  同氏は、中国の国産ブランドは今年1-9月期に国内市場シェアを26%まで拡大したが、国内メーカーの技術・研究開発が外国メーカーに比べて出遅れていることから、当面は利益率の低い大衆車市場にターゲットを絞る必要があるため、手元資金が伸び悩み、今後の事業拡大のペースも制約されるとしている。

  また、コン氏は「(中国の自動車メーカーは)設備投資資金は社債発行でも調達できるが、(利息払いなどの)財務体質の硬直化をもたらす危険性が高まる」と指摘。高い技術を必要とする高級車の開発を楽観的に考えている国内メーカーもあるが、現状では継続的な供給体制を維持することは困難という。中国は今年1-9月に25万2000台以上の自動車を輸出したが、同氏は世界市場への急速な進出は、国内メーカーの収益性や評価に悪影響を及ぼすと警告している。

  さらに、コン氏は「価格の安さは中国メーカーにとって大きな強みだが、中国メーカーが成功するには、高品質の自動車を生産することやアフターサービス体制の構築が不可欠だ。高い技術を持つ日本や韓国の自動車メーカーは、世界市場に進出する前に、国内市場で基盤を固めたことを銘記すべきだ」と強調した。【了】

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