将棋の第50期棋王戦コナミグループ杯五番勝負第1局が2月2日、高知市の「文化プラザ かるぽーと」で指され、藤井聡太棋王(竜王、名人、王位、王座、王将、棋聖、22)が増田康宏八段(27)に127手で勝利した。シリーズは、防衛を目指す藤井棋王が先勝。3連覇へ向けて幸先の良いスタートを切った。注目の第2局は2月22日、石川県金沢市の「北國新聞会館」で行われる。

【映像】藤井棋王がシリーズ先勝を飾った瞬間

 棋王3連覇を目指す藤井棋王に、タイトル戦初登場の増田八段が初挑戦する注目のシリーズが開幕。高知市で行われた第1局は、若き絶対王者が白星を手にした。

 振り駒の結果で藤井棋王の先手となった本局は、角換わりの出だしに。藤井棋王は直近の増田八段戦でも先手番で角換わりを採用して3戦連続で白星を飾っていた。本局でも同様の出だしとなったものの、増田八段は用意の作戦を披露。序盤は持ち時間を温存した一方、藤井棋王は悩まし気な表情を見せながら慎重に読みを入れていた。

 藤井棋王が右辺から仕掛けて戦いが始まったが、手が広く焦点を見つけるのが難しい。昼食休憩明けにもじっくりと時間を投入し、前進を目指した。2枚の垂れ歩で居玉の増田玉に迫ると、飛車を回って歩切れの後手にプレッシャーをかけていく。局面を動かしに出た増田八段に対し、溜めていた力を放出させるように攻勢に出た。2枚の角で攻防を目指した増田八段だったが、藤井棋王の攻めはどこまでも鋭い。最終盤ではポイントを積み重ねるように冷静に受けに回り、盤石の強さで勝利を掴んだ。

 藤井棋王は「こちらが早めに動く形になったが、昼食休憩前の一手が甘い手で、そのあとは増田八段にうまく指されてしまって苦しい局面が続いていたと思う。終盤も難しくてよくわからないまま指していたが、桂馬を打ったあたりで攻めの形ができたのかなと思う」とコメント。「本局は時間配分を含めて課題が残るところもあったかなと感じているので、そのあたりをしっかり振り返って第2局以降に活かしていきたい」と次戦を見据えていた。

 また初めてのタイトル戦の舞台を黒星で終えた増田八段は、「中盤あたりまではかなり戦えていると思っていたが、終盤は差がついてしまった。やはり藤井棋王との差を感じた。(第2局まで)少し期間が開くのでその差を練られたらと思う」と語った。

 この結果、藤井棋王がシリーズ先勝。防衛3連覇に向けて幸先の良いスタートを切った。現在、王将戦七番勝負と並行して本シリーズに臨む藤井棋王だが、多忙を極める中でも白星を着実に積み上げ通算勝利数は396勝とまもなく大台の通算400勝が迫っている。藤井棋王がいつこの記録を更新するのかにも大きな注目を集めることになりそうだ。

 注目の棋王戦第2局は、2月22日に石川県金沢市の「北國新聞会館」で予定されている。
(ABEMA/将棋チャンネルより)