Mastercardの最上位クラスに属する「ラグジュアリーカード」。金属製のカードで、左から年会費22万円の「Gold Card(Yellow GoldとRose Gold)」年会費11万円の「Black Card」、年会費5万5000円の「Titanium Card」(画像:ラグジュアリーカード)

クレジットカードの中でもハイクラスのプラチナカード。本来は年会費が10万円以上と高額なのだが、最近では年会費3万円台のプラチナカードが登場し、以前に比べて敷居が低くなってきた。サービスや特典はプラチナ級なので、そのコスパの高さにハイクラスのクレカを選ぶ人が増えている。

2024年に登場した中では、ドコモのプラチナカード「dカード PLATINUM」や、既存のゴールドカードをアップデートさせた「アメリカン・エキスプレス・ゴールド・プリファード」が、この特徴を色濃く示している。

一方で、2016年に日本進出と後発ながら、プレミアムな路線を貫きながら独自の特典で会員を増やす「ラグジュアリーカード」にも注目だ。これら3つのクレカについて説明する。

ドコモのサービス利用で大いに得できる

ドコモのクレジットカード「dカード」のラインナップに、プラチナカードの「dカード PLATINUM」が加わった。2024年11月25日から受付を開始したのだが、予想を上回る申し込みのため、カードが発送されるまでに1カ月程度と、通常以上の時間を要している。

dカード PLATINUMの年会費は2万9700円。しかも買い物をした時のポイント付与は、年会費無料の「dカード」と同じ100円(税込)につき1ポイントと、年会費の割に旨みがないように感じる。申し込みが殺到しているのはなぜか?

その秘密は“圧倒的なお得とプレミアムな体験”だ。


「dカード PLATINUM」。年会費2万9700円。マスコットキャラクターのポインコデザインのカードも用意する(画像:ドコモ)

まずお得の面では、ドコモの回線料金やネットサービスで、利用料金の最大20%のポイントが獲得できる。

「dカード GOLD」は10%なので、倍のポイントがもらえることになる。仮に「eximo ポイ活」プラン(月額1万615円)と「ドコモ光 10ギガ」(タイプA、2年定期契約6380円)を利用した場合、20%のポイント還元率なら年間で3万3600ポイントが得られ、年会費の元が取れる。

加えて、前年度の買物額に応じて最大4万円相当の特典が得られ、マネックス証券のdカードでの投信積立においても、毎月の積立額に対して最大3.1%のポイント(年間最大3万7200ポイント)が得られる。

プレミアムな体験としては、2名以上のコース利用で1名分が無料になるレストラン優待サービス「ダイニングby招待日和」や、世界148の国や地域にある約1600カ所の空港ラウンジが年間10回まで無料で利用できる「プライオリティ・パス」が利用できる。そのほかドコモが主催するライブやスポーツイベントの優待なども予定されている。

昨今ではポイント経済圏を意識した買物疲れがささやかれているが、むしろマトをひとつに絞り、ドコモ経済圏にどっぷり身を投じてみることで、大いに得できるというわけだ。なお最大限に得をするためには、対象となる通信プランを利用したり、年間400万円程度の買物をするなど、さまざまな条件がある。入会を検討する場合は、その条件をしっかり吟味したい。

20代に響くプレミアム体験を提供する

スタンダードのカードでも年会費が1万3200円(月会費1100円×12カ月)というアメリカン・エキスプレスでは、グローバルのカード全体の新規会員の60%以上がZ世代やミレニアル世代と、若年層から注目されている。「日本も同じ傾向で20代の新規会員が増えている」と、同社の広報担当者は言う。

2024年2月20日に登場した「アメリカン・エキスプレス・ゴールド・プリファード」でも、20〜30代の申し込みがかなりの割合を占めるそう。このカードの年会費は3万9600円だ。


メタル製カードのアメリカン・エキスプレス・ゴールド・プリファード。年会費3万9600円。カード番号は裏面に記載され、セキュリティに配慮する(筆者撮影)

「プレミアムな体験やバリューへのニーズが非常に強いと実感している。その一方でポイントもしっかり貯めてお得に活用したいというニーズにも応えられているところが評価されていると感じている」と前出の広報担当者。

ポイントは通常1%付与だが、AmazonやYahoo!ショッピング、ヨドバシカメラなどの対象加盟店では3%付与にアップする。

トラベル特典として注目されているのが、年間200万円以上のカード利用で、国内のプレミアムホテルに2名1泊無料で宿泊できる「フリー・ステイ・ギフト」だ。「アメリカン・エキスプレス・トラベル オンライン」のホテル予約で利用できる、1万円分のトラベルクレジットも提供される。


「Fuji Rock」の会場で会員特典としてキャッシュバックを実施(画像:アメリカン・エキスプレス)

そのほか、年2回まで無料で空港ラウンジが利用できる「プライオリティ・パス」、2名以上のコース利用で1名分が無料になる「ゴールド・ダイニングby招待日和」、20%のキャッシュバック(年間最大1万円)が受けられる「ポケットコンシェルジュダイニング」など、さまざまなトラベル、ダイニング特典を用意する。

中でもカード会員限定のイベントやサービスが好評で、ユニバーサル・スタジオ・ジャパンや清水寺での貸し切りイベント、予約の取れないレストランのシェフを招いてのダイニングイベント、海外アーティストのライブチケットの先行販売などと多彩。

2024年夏には「Fuji Rock」のチケットが当たるキャンペーンを実施した。会場では会員向けに30%キャッシュバックを行い、若年層から多くの反響が得られたそう。

完全招待制の「Black Diamond」

Mastercardの最上位クラスに属する「ラグジュアリーカード」は実に高額の年会費だが、着実に入会者数を伸ばしている。カードのラインナップは、完全招待制の「Black Diamond」、年会費22万円の「Gold Card」、年会費11万円の「Black Card」、年会費5万5000円の「Titanium Card」の4種類を発行する。

ラグジュアリーカードは2008年にアメリカで誕生し、2016年に日本に進出。国内の会員数はこの7年で4.7倍近くに成長した。特に年会費が高いカードの入会が増えている。2023年入会者の年齢は、ミレニアル世代以降の入会者が半数以上になるそうだ(ラグジュアリーカード調べ「2023年 新富裕層の消費動向」より)。

コンシェルジュサービスが受けられる

注目すべきは、レストランの検索や予約、チケット手配、旅行の手配などを行ってくれるコンシェルジュサービスが受けられること。通常、コンシェルジュサービスが付帯しているのはプラチナカードよりもさらに上位のブラックカードになるが、「ラグジュアリーカード」の場合、「Titanium Card」からこのサービスを利用できる。


極めて繊細なステンレス加工を施された「Titanium Card」。年会費5万5000円(画像:ラグジュアリーカード)

会員の67%が経営者(経営者、会社役員、自営業者)。ビジネスでクレカを利用する人も多いことから、ネットワーキングイベントや、自社のサービスを無料でPRできるサービス、ゴルフイベントなど、会員同士をつなぐ取り組みが盛ん。

各分野で成功を収めた人と触れ合う機会もあり、可能性が広がるつながりが得られるところに魅力を感じる会員も多い。

国内外の空港ラウンジの利用や予約困難なレストランの特別なダイニング、豪華客船クルーズの招待のほか、季節に応じた花見や花火、紅葉など、会員限定のさまざまな特典やイベントを用意する。


カード会員同士をつなぐ優待イベント「ソーシャルアワー」の様子(画像:ラグジュアリーカード)

Titanium Cardでは毎月話題の映画が無料で鑑賞できたり、国立美術館を同伴者1名まで無料で鑑賞できる特典もあり、1年中楽しめると好評だ。なおポイント付与率は1%でキャッシュバックされる。

年会費が高額であっても、それ以上のお得が得られたり、特別なイベントで貴重な体験ができたりと、年会費以上の価値が得られるクレカ。若年層を中心に、本質的な価値を感じる人に選ばれているようだ。

なお、各クレカには入会条件があり、申し込み後に審査がある。

(綿谷 禎子 : ライター)