松本穂香、救われる思いで胸がいっぱいに「20代の私なんて到底追いつかないけれど…」

◆死を実感した瞬間から動き出した48歳女性の人生
今回、わたしがご紹介させていただくのは、1月3日に公開された映画『ブラックバード、ブラックベリー、私は私。』です。
素晴らしかったです。どんな女性にも、この映画が必要になる時がある、そう思わせてくれる映画でした。
◆自分自身としっかり生きている姿は美しい
映画や作品との出会いはいつも不思議だなと思うのですが、その時自分が必要としていることがその作品に込められていることが多い気がします。というのも、わたし自身もうすぐ28歳を迎えるという年齢に差し掛かり、“ひとり”で生きていくということについて考える機会が多くなってきました。
高熱を出して一人で寝込んでいる時に、ふとこの先のことについて考えたり。不安でいっぱいというよりは、そうなったらそうなったでいいか。というような、ある種、選択肢が増えたような。
エテロの逞しさに比べたら、20代の私なんて到底追いつかないけれど、自分自身としっかり生きているエテロの姿は美しく、何だかとても安心しました。そして、同時に、自分以外の何かを大切に思うことの素晴らしさも、この映画は否定しなかった。
◆これからはいいことがたくさん起きるはず
ひとりで生きるのもいいけど、大切なものは多いほうがいいよねって。人生って、きっとちゃんとバランスを取ってくれるものだと思っているんです。
これまでの人生が悪いことの比率が多かったなら、これからはいいことがたくさん起きるはず。そんな言ってしまえば、都合がよくて、単純な考えをエテロの人生は優しく肯定してくれました。
人生には時に降ってくるような幸せがやってくるんだよと。映画の中で、救われていくエテロの姿を見ながら、同時に私も救われる思いで胸がいっぱいになりました。
あなたは、大丈夫。強く美しいエテロの瞳に、ひとつの勇気をもらいました。
●『ブラックバード、ブラックベリー、私は私。』
配給/パンドラ ヒューマントラストシネマ有楽町、アップリンク吉祥寺他にて大ヒット公開中 ©- 2023 - ALVA FILM PRODUCTION SARL - TAKES FILM LLC
<文/松本穂香>
【松本穂香】
1997年2月5日生まれ。大阪府出身。2015年『風に立つライオン』で長編映画デビュー。2017年連続テレビ小説『ひよっこ』に出演して注目を集め、2018年にはTBS日曜劇場『この世界の片隅に』で主演に抜擢。2023年、映画『“それ”がいる森』で日本アカデミー賞優秀助演女優賞を受賞。2024年10月期月9ドラマ『嘘解きレトリック』では鈴鹿央士とともにW主演を務めた