中国最大の食糧生産地帯で進む、農業廃棄物の有効利用 黒竜江省

国家ハイテク企業にも認定されている黒竜江博能緑色能源科技の肇東第1工場のバイオガス貯蔵装置。(11月12日撮影、ハルビン=新華社記者/孫暁宇)

 【新華社ハルビン12月10日】中国最大の食糧(穀物、豆類、芋類)生産地帯、黒竜江省の一部の地域では現在、わらなどの農業廃棄物が従来のメタンガス生産に用いられているほか、バイオガスやバイオメタノールといったグリーン(環境配慮型)産業チェーンにも広く利用されている。

  同省大慶市にある化学メーカー、大慶油田化工甲醇(メタノール)分公司の荷さばき場では、天然ガスを運ぶトラックがひっきりなしに行き交っている。運び込まれたバイオガスは、ここで2段階減圧などの工程を経た後、社内のガス管網に送られる。

中国最大の食糧生産地帯で進む、農業廃棄物の有効利用 黒竜江省

大慶市にある化学メーカー、大慶油田化工甲醇分(メタノール)分公司で外部から運び込まれた天然ガスを内部のガス管網に送るための設備。(11月12日撮影、ハルビン=新華社記者/孫暁宇)

 同社の趙忠尭(ちょう・ちゅうぎょう)経理は「当社では、バイオガスに脱硫、加圧、転化、合成など一連の措置を施してバイオメタノールを生産している」と説明。同社には、年産能力10万トンのメタノールプラントと同5万トンのアンモニア合成プラントがあると語った。

 大慶油田化工の生産に必要なバイオガスは、約140キロ離れた同省肇東(ちょうとう)市太平郷にある環境関連企業、黒竜江博能緑色能源科技の肇東第1工場から供給されており、ここも同じく生産に忙しい。

中国最大の食糧生産地帯で進む、農業廃棄物の有効利用 黒竜江省

国家ハイテク企業にも認定されている黒竜江博能緑色能源科技がバイオガス残さから生産した肥料。(11月12日撮影、ハルビン=新華社記者/孫暁宇)

 国家ハイテク企業にも認定されている同社は、中国北方地域に適した低温嫌気発酵技術を開発。肇東第1工場は2021年に稼働を開始し、1日当たり300トンのわらと家畜・家禽(かきん)のふん尿を処理する。これらの原料は巨大な嫌気性発酵タンクに入れられ、25日間の発酵サイクルを経てバイオガスに生成され、その残りかすは育苗基質や有機肥料の原料としても利用できる。バイオガスにはさまざまな不純物も含まれており、さらに精製・処理すれば、年間最大370万立方メートルのバイオガスを生産できる。

 大慶ハイテク産業開発区管理委員会の張学軍(ちょう・がくぐん)総工程師(チーフエンジニア)によると、大慶市の化学工業にはしっかりとした基盤があり、大慶油田化工と黒竜江博能緑色能源科技との協業促進により、バイオメタノールの商業化大規模生産を実現した。同委員会は今年、黒竜江博能緑色能源科技とのグリーンメタノールプロジェクトの立ち上げに向け、協力枠組み協定も締結した。プロジェクトでは年間30万トンのグリーンメタノールを生産し、27年までに所定の生産能力に達する計画のほか、地元の産業用燃料の高度化と低炭素化を支援する。(記者/孫暁宇)