MUJI HOTEL｢3500円朝ごはん｣の"正直な感想"
無印良品のホテル、MUJI HOTEL GINZAの朝食ビュッフェをご紹介。無印良品の店舗でも販売している人気商品を、お得にたくさん食べることができます（筆者撮影）
チェーン店の外食モーニングをこよなく愛するライター・ブロガー、大木奈ハル子さんの。連載「チェーン店最強のモーニングを探して」では、様々なチェーン店のモーニングをご紹介しています。
第103回は、「MUJI HOTEL GINZA」をご紹介します。無印良品が運営するホテルのモーニングの実態とは？
ファストフードに牛丼チェーンにファミリーレストラン。カフェに焼肉に立ち食い蕎麦にドーナツショップ。飲食チェーンがひそかにしのぎを削っているジャンル、それが朝メニュー、いわゆる「モーニング」です。
祝連載100回！記念してホテル月間
おかげさまで当コラム「チェーン店最強のモーニングを探して」は、11月で連載100回を迎えました。普段はなるべく身近だったり、お得だったりするモーニングメニューを紹介しているのですが、先月からちょっとスペシャルに、ホテルのモーニングをめぐっています。
今週は日本が誇るグローバルブランドとなった無印良品のホテル「MUJI HOTEL（ムジホテル）」の朝食バイキング（モーニングビュッフェ）をご紹介します。
「無印良品にホテルなんてあるの？」と、思われる方もおられるかもしれませんが、実は「MUJI HOTEL」は2018年に中国北京にて開業、現在では中国に2つと、東京銀座の3施設を展開しています。
銀座の並木通りにある無印良品の世界旗艦店「無印良品銀座店」は、地下1階から6階までが店舗になっており、「MUJI HOTEL GINZA」は、銀座店の上部分にあたる、6階から10階にあります。
ホテルの入り口は、並木通りの正面玄関ではなく、銀座レンガ通りにある（筆者撮影）
朝食ビュッフェを提供しているのは6階ホテルフロントに隣接するレストラン「WA」。実施時間は朝7時30分から10時まで。宿泊者以外の一般利用も可能で、料金は1人あたり税込3500円です。
無印良品銀座店6階、MUJI HOTEL GINZAの朝食ビュッフェ3500円（筆者撮影）
ちなみに「MUJI HOTEL GINZA」は最も狭い部屋で14�屐∈任盥�い部屋で52�屐�
宿泊料金は変動性となっており、料金比較サイトには最安価格が大人2名1泊あたり2万6400円〜とあるのですが、2024年11月30日の朝食付き宿泊プランで最も安いものでも大人2名で6万円を超えた金額が表示されました。
MUJIブランドの人気もあってか、立地の良さもあるためか、なかなかのお値段です。
無印良品の人気メニュー食べ放題、MUJI HOTEL GINZAの朝食ビュッフェ
「MUJI HOTEL GINZA」の朝食ビュッフェのメニュー数はデザートやドリンクを含めて全部で30種類ほど。
品数は多くはないものの、定番はきちんと揃っているなという印象です。
和食は、白米に味噌汁、焼き魚、ひじきやきんぴらごぼうに炊き込みご飯に味噌汁、洋食はパンにグラノーラ、パンケーキ。スクランブルエッグに、ベーコンやソーセージ、サラダにヨーグルトとコーンスープなど。
それにプラスして下記のような、
・バターチキンカレー
・かしわめし
・焼き餃子
・水餃子
・紅茶バウムクーヘン
・バナナバウムクーヘン
・クロワッサン
・食パン
無印良品の人気メニューが並んでいるのが嬉しいポイントです。
無印の食器に盛り付けた、シンプルだけどおいしい朝ごはん
無印良品の人気レトルト商品や焼き菓子などのほか、同ビル1階にある焼き立てパンの「MUJI Bakery」のパンも食べられるのは、「MUJI HOTEL」ならではの魅力です。
リゾートホテルというよりは、ビジネスホテルのモーニングビュッフェっぽい感じ。本音を言えば「宿泊料金の割には簡素な朝食だな」と思ったのですが、そういうところも含めて無印良品っぽいのかもしれません。
約30メニューから選べる無印良品の朝食バイキング（筆者撮影）
当然のことながら、白磁の角皿や、お皿を運ぶ竹製のお盆も無印良品です。直線的ですっきりとしたデザインは、和食にも洋食にもよく似合います。
少しずついろいろ取り分けたメニューをテーブルにズラリと並べていただきます。
（筆者撮影）
・スチームポーク
・信玄鶏の塩糀焼き
・鮭の幽庵焼き
・鯖の塩焼き
・スクランブルエッグ
・ベーコン
・ポークウインナー
・きんぴらごぼう
・ひじきの煮物
パンはもちろん、主菜、副菜も充実！
（筆者撮影）
・MUJI Bakeryの食パン
・MUJI Bakeryのクロワッサン
・不揃いバウム バナナ味
・不揃いバウム 紅茶味
・パンケーキ
（筆者撮影）
（筆者撮影）
・水餃子
・コーンスープ
・サラダ
・讃岐うどん
食べて感心したのは、ひとつひとつの食材がきちんとおいしいところ。ビュッフェって品数が物を言うみたいなところがありますよね？
看板メニューはどこでもおいしくても、品数を増やしてぱっと見の見た目を良くするために、賑やかしに並べておきましたよ的なものが交ざっていて「まずくはないけどおいしくもないなぁ」っていうのに遭遇することも。
しっとりと肉厚なスチームポーク。薄味で素材そのもののおいしさが楽しめる（筆者撮影）
「MUJI HOTEL」の場合は、調理方法はシンプルで見た目は素朴なのですが、だからこそ食材の良さが際立ちます。
食べてみると肉厚ながらしっとりと旨みがつまったスチームポーク（つまりは蒸し豚）や、丁寧に皮目をパリッと香ばしく焼いた信玄鶏の塩糀焼きなど、塩加減も絶妙で「塩味が強めで、食べるとやたら喉が渇くなぁ」なんてこともありません。
鯖の塩焼きは、しっかり身がひきしまって旨みが詰まっていました（筆者撮影）
美は細部に宿るなんて言いますが、お漬物やドレッシングまでおいしい。こういうところが無印良品クオリティ。矜持にグッときます。
やっぱりおいしい無印良品のバターチキンカレーとバウムクーヘン
この日の個人的な目玉はバターチキンカレーです。
無印良品では約50種類のレトルトカレーを販売しているのですが、バターチキンカレーは2009年発売以来、不動の1番人気として多くの人に愛されています。
トマトベースの酸味のあるフルーティーなカレーに、牛やヤギの乳脂肪分であるギーを加えてまろやかに仕上げたカレーは、ほんのり異国の味わい。
無印良品レトルト食品の大ベストセラー、バターチキンカレーを朝からぱくり（筆者撮影）
本場のカレーの雰囲気も残しつつも、辛さは控えめなので、朝から汗だくになることもありません。
癖や臭みもないので食べやすいうえに、大きなチキンもゴロゴロ入って食べ応えもバッチリ。こりゃあリピーターが続出するワケです。
不揃いバウムというネーミングですが、見た目は十分美しい。ちなみに不揃いではないバウムクーヘンは商品化していません（筆者撮影）
さらに無印良品の焼き菓子の代表格であるバウムクーヘン。
不揃いバウムという商品名で、まるで訳あり品のようなネーミングであるにもかかわらず、ギフトボックスまで登場、贈答品としての地位まで確立してしまった大人気商品です。
ビュッフェブースには、バナナ味と紅茶味の2種類が並んでいました。店頭で購入する際は税込180円という手頃な価格と、スティックタイプという気軽に食べられる形状から、むしゃむしゃと1本喰いしていたのですが、小さくカットされたものを改めて食べると、ハッとするほどおいしい。
ほんのり上品な甘さと、しっとりモイスチャーな食感。紅茶は茶葉の華やかな香りが鼻を抜け、バナナは生のフルーツをそのまま練り込んだようなしっかりしたバナナの味で、どっしり感まで感じるほどなのに、独特の青臭さがないのです。
デパ地下に出店しているような高級店で売っているバウムクーヘンと比べると、濃厚すぎないカジュアルな味わいで、日常的に食べたくなる、優しいおいしさがたまりません。
かしわめしと海鮮ちらし（筆者撮影）
かしわめしは、炊き込みご飯のもととしてレトルトで販売しているものを使用しています。北九州の郷土料理がお手本で、甘辛い醤油味のご飯に、細かく刻んだにんじんとごぼうが入っています。
はっきりした味で、食が進みます。酢飯の上に角切りにしたまぐろや鯛をとびっこと青ねぎで和えた具材を載せた豪華な海鮮ちらしもありました。
激レアな無印良品の手作りパン
パンブースにあるパンは、クロワッサンと食パンの2種類。どちらも1階の「MUJI Bakery」で焼き上げた手作りパンです。
無印良品の手作りパンを、ベルトコンベア式のトースターでリベイクしていただきます（筆者撮影）
無印良品が焼き立てパンを販売しているのは、銀座以外には有明など日本で数店舗しかないそう。
クロワッサンは、トースターでリベイクすると表面はカリカリ、内側はしっとり。バターをたっぷり使用してあり、口に含むと空気までおいしい。
生地がみっしり詰まっているので小さめサイズながら食べるとずっしりパンチがあります。
MUJI Bakeryクロワッサンの断面図。しっかり詰まった生地が年輪のように層になっています（筆者撮影）
食パンは4分の1サイズの小さめですが5枚切り程度の厚みを持たせてカットしてあり、食べるとふわふわさが際立ちます。
そのまま食べてもヨシ、バターとジャムを塗ると、トッピングのおいしさが際立つ名脇役にも変身します。
数年前に一世を風靡した高級食パン屋さんはお砂糖たっぷりバターたっぷりで甘くてしっとり仕上がっていましたが、無印良品の食パンは甘さも油脂も控えめで、小麦粉のおいしさを再確認できる食パンでした。
食べる前は「取りすぎたかも……食べ切れるかな」と不安でしたが、味付けが濃すぎないので食べやすくパクパクと無心に食べすすめていくと、途中で中だるみすることなくペロッと食べきれたのでした。
日本人は自分だけ、北欧に迷い込んだような不思議な気分
「MUJI HOTEL」の朝食ビュッフェ会場は、2人掛けと3人掛けのテーブルで構成された35席ほどのこぢんまりとした店内でした。
MUJI HOTEL6階レストランWAは、ナチュラルとインダストリアルのバランスが絶妙なインテリア（筆者撮影）
白木とグレーというナチュラルな配色の家具、大きなガラス窓からは朝の光が差し込み、「本当にここは銀座なのかしら？ 北欧に迷い込んだんじゃないかしら？」というような、開放感と温かみが共存する空間です。
利用したのは平日の7時30分。オープン直後だったためか、ビュッフェにいるのは10人ほど。私以外の全員が宿泊客で、私以外の全員が2人以上で朝食を食べており、私以外の全員が外国人でした。
なかにはアジア系の人も交じっているのですが、日本語で話す人は皆無。
デザート代わりにクロワッサンをもう1つ。ホットコーヒーにミルクをたっぷり入れていただきます（筆者撮影）
無印良品は世界的に人気らしいということは、聞き及んでいたものの、「MUJI HOTEL」のメインターゲットは、無印良品ファンの日本人だと思っていたのですが、予想は大いに裏切られました。
筆者が想像していた以上に無印良品（を運営する良品計画）は、ワールドワイドでグローバルな企業に成長していたようです。
しかもどうやら無印良品のホテルを選ぶ人たちは、チェックアウトしてから、観光しつつグルメも楽しむ予定でもあるのか、パンとコーヒーとサラダなど、軽い朝食を取る人が大多数でした。
ここぞとばかりにお皿を大量に並べて、フードファイターのごとくむさぼっているのは筆者のみ。
携帯用の紙コップでコーヒー持ち帰りOKでした（筆者撮影）
食後のコーヒーを飲みながら、デザート代わりに2個目のクロワッサンを頬張りつつ、無印良品の人気冷凍食品、鶏レバーとこんにゃくのからしマヨネーズソース和えや、韓国風のりまきのキンパもあったらいいのになと、欲深く妄想する朝です。
本文中で紹介しきれなかった画像はこちら！
【その他の画像も多数】「朝食に3500円は高い…」と思いきや？ 「MUJI HOTEL」のモーニングはこんな感じ
編集部注：本記事に登場するメニューの価格は、すべて取材時点のものです。昨今の円安、原材料高騰などの影響を受けて価格が改定されている可能性があります。また、店舗によってモーニングの値段・内容は異なる場合があります。
画像をクリックすると本連載の過去記事にジャンプします
（大木奈 ハル子 ： ブロガー・ライター）
