この記事をまとめると

■セーフティカーを運転する人は一定のレース経験のあるプロドライバーが多い

■F1のセーフティカードライバーは今年で24年目のベテランだった

■国内レースでも実績のあるドライバーが担っている

セーフティカーのドライバーはかなりの凄腕!

 レース中にアクシデントが発生した際に出動するセーフティカー。大雨などでコースコンディションが悪いときも、コースチェックで走ったり、荒天時にはセーフティカー先導でスタートとなる場合もある。

 日本GPで雨のためスタートがディレイになったとき、コースチェックで試走するセーフティカーを見たことがあるが、悪コンディションのなか、かなりのペースで走っており、そうとう高度なドライビングスキルをもっているのがよくわかり、非常に印象深かった。

 調べてみると、現在、F1のセーフティカードライバーを務めているのは、ドイツ人のベルント・マイレンダーとのこと。

 彼はDTMドイツ・ツーリングカー選手権やFIA-GTで活躍したレーシングドライバーで、1999年のル・マン24時間レースではポルシェ911でクラス2位、2000年にはニュルブルクリンク24時間レースで優勝もしており、この2000年にFIAと契約して、F1のセーフティカードライバーに就任。すべてのグランプリに帯同し、今年24年目になる大ベテランだ。

 そんな彼でも、F1ドライバーから「セーフティカーが遅くてタイヤが冷えてしまう」などと無線で文句をいわれることもあった。しかし、F1マシンを従えて、メルセデスAMG GTブラックシリーズやアストンマーティン・ヴァンテージで、悪コンディションのなかを走って「遅い」といわれても……。彼には同情するしかない。

日本でもベテランドライバーが務める

 日本では、SUGOのセーフティカードライバーの小原康二が有名。この小原も、レースキャリア30年以上のベテランドライバーで、2021年の富士24時間耐久レースではロードスターでクラス優勝。2022年にはニュルブルクリンク12時間耐久レースのSP3クラスで2位にもなっている。

 2003年から、スポーツランドSUGOのセーフティカードライバーを引き受けていて、SUGOでスーパーフォーミュラを先導した際には、大湯都史樹選手に「このセーフティカー速い。運転しているドライバー、凄い」と絶賛されたこともあるほど(先述のベルント・マイレンダーとは逆の例)!

※写真は富士スピードウェイのGRスープラのセーフティーカー

 その他、国内では引退した元トップドライバーがセーフティカードライバーを依頼されることが多いようだ。

 レギュレーションを読むと「この車両(セーフティカー)は経験豊富なサーキットドライバーによって運転される」(国際モータースポーツ競技規則 付則H項 2.10 セーフティカー運用手順)と明記されているので、レースで実績のある、ベテランドライバーであることが、セーフティカードライバーになる条件といえるだろう。