28日、レバノン南部ヒアムから立ち上る煙=ロイター

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 【エルサレム=笹子美奈子】イスラエル軍によるイスラム教シーア派組織ヒズボラの指導者ハッサン・ナスララ師の殺害を受け、中東各国の反イスラエル武装勢力が28日、報復攻撃を始めた。

 イスラエル軍は29日もヒズボラの拠点であるレバノンへの空爆を続け、累計死者数は1000人を超えた。

 中東の衛星テレビ局アル・ジャジーラによると、ヒズボラの後ろ盾のイランが支援するイエメンの反政府武装勢力フーシは28日、イスラエル最大都市テルアビブの空港に向けて弾道ミサイルを発射した。国連総会に出席したイスラエルのベンヤミン・ネタニヤフ首相の帰国を狙った攻撃とみられる。ミサイルは迎撃された。

 イラクの親イラン民兵組織などによる連合体「イラクのイスラム抵抗運動」は29日、イスラエル南部エイラートに無人機攻撃を行った。

 ヒズボラは本格的な報復攻撃に着手していないが、エルサレムに向けてミサイルを発射した。昨年10月以降では、最も南に向けた攻撃となる。アル・ジャジーラは、ヨルダンの首都アンマン近郊の空港付近にレバノンからロケット弾が着弾したと伝えた。

 イスラエル軍はナスララ師殺害後も、ヒズボラへの攻撃を続けている。29日に新たに司令官の殺害を発表した。レバノン保健省によると、28日の空爆で33人が死亡し、195人が負傷した。今月16〜27日の累計死者数は1030人、負傷者数は6352人となった。

 空爆は、シリア国内に対しても行われているとみられる。在英のシリア人権監視団によると、シリア北東部デリゾールのイラン軍施設、ヒズボラがイランから武器を調達する主要輸送路のイラク国境付近のアブ・カマルで28日に空爆があった。イスラエル軍は、この空爆を行ったかどうか明らかにしていない。