◆調査すべきは若者の孤独死の「具体的要因」

’23年、WHOは孤独・孤立の問題解決に向けた「社会的つながりに関する委員会」を設置。世界的に見て、日本の孤独対策は進んでいるのか。

「日本は進んでいるほうです。世界で2番目に早く孤独・孤立対策の大臣を置いていますし、孤独・孤立対策推進法があるのは現状では日本だけ。ただ、若者の孤独の原因が何なのか。その理由は家庭、健康、経済事情、労働環境など無数にありますが、すべてが明らかにされているわけではないため、自殺の原因究明を進めなくてはいけません」

今年7月21日、産経新聞は東京都監察医務院への取材により、’18〜’20年に「孤独死」した若者(10〜30代)が、東京23区で計742人確認されたと報じた。だが、大空氏はこの報道に疑問を呈する。

「『若者の孤独死』とセンセーショナルに取り上げていますが、この数字の多くは自殺です。部屋で亡くなっていないなど、これに計上されない若者もいるわけで、この切り取り方に何の意味があるのかなと。そんなことを発表する暇があったら、まだ多くが未解明の若者の孤独死の具体的要因を調査すべきでしょう」

現在、若者の相談窓口は広まっているものの対応する側は逼迫している。若者の孤独死は“対症療法”から“予防”へと舵を切るべきときなのだ。

【あなたのいばしょ理事長・大空幸星氏】
チャット相談を行うNPO法人あなたのいばしょを設立し、約100万件の相談に応じる。「ABEMA Prime」などにレギュラー出演中。著書に『望まない孤独』(扶桑社)など

取材・文/週刊SPA!編集部

―[[若者の孤独死]知られざる実情]―