6回、54号3ランを放つ大谷(提供・共同通信社)

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 「ロッキーズ4−11ドジャース」(27日、デンバー)

 ドジャースの大谷翔平選手(30)が、敵地デンバーで行われたロッキーズ戦で4戦ぶり54号3ランを含む5打数4安打4打点の活躍でチームを大勝に導いた。二回には二盗を成功させて57盗塁とし、イチローを抜いて日本選手最多記録を更新した。本塁打と打点は二冠を独走。打率は1位アラエス(パドレス)に5厘差の2位。残り2試合。逆転三冠王を狙う。

 振ればヒット。大谷が手にした漆黒のバットが打ち出の小づちと化した。怒とうの4打席連続安打で自身5年ぶり2度目のサイクル安打まであと三塁打。敵地スタンドから大きな歓声、さらにはMVPコールが起こる異常事態となった。

 前日に本拠地ロサンゼルスで3年連続地区優勝を決めた。大谷にとってメジャー7年目で初めて経験するシャンパンファイト。フィールド上では真美子夫人と愛犬デコピンと一緒に喜びを分かち合った。

 過酷なメジャーのスケジュール。祝勝会の後、全身に浴びたアルコールをクラブハウスのシャワーで洗い流して空路移動。敵地デンバーに降り立ったのは午前4時過ぎ。疲労回復のために一番大切な睡眠時間の確保が難しい状況下でこの日の試合に臨んだ。

 プレーボール直後の打席こそ遊ゴロに倒れたが、右の引き手の使い方をきっちり修正。二回の打席で右前適時打を放って連続安打試合を10に伸ばすと、すかさず二盗に成功。シーズン57盗塁で、イチローを抜いて日本選手1位に立った。

 六回には飛距離133メートルの特大アーチをかける。打球角度34度。右翼2階席まで達したムーンショットに敵地は騒然。「55−55」に王手をかけた。

 18日のマーリンズ戦で3打席連続本塁打を含む6安打10打点2盗塁で史上初の「50−50」を達成した。そこからこの日までの8試合の成績は打率・706(34打数24安打)、6本塁打、20打点。一時は・287まで落としていた打率を・309まで回復させた。

 ロバーツ監督をして「ここまでの選手を見たことがない」と言わしめるほどの絶好調ぶり。首位打者争いのライバル、アラエスの成績をチェックしていることを明かしながら「個人的には三冠を達成できると思っている」と言い切った。

 「気持ちの打席が多かった」。大谷がそう言ったのは地区優勝を決めた日の夜だ。「ヒットを打つことだけを考えて打席に集中しました」。残り2試合。指揮官は大谷のスタメン出場を明言した。地区優勝の重圧はない。日本選手ではイチローに次いで2人目の年間200安打にあと6本。『ショウ・タイム』。最終戦最後の1打席まで大谷は主役であり続ける。