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日本の食卓に欠かせない食材、タコ。世界的に需要が高まる中、タコの養殖技術の開発が進められています。一方、アメリカカリフォルニアでは日本時間28日、タコの養殖の禁止法が成立。なぜなのでしょうか。

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アメリカ・ロサンゼルスのたこ焼き店。

オーナー・柴谷健雄さん「(1日に)1万個、2万個くらいは焼きます」

持ち帰りの女性客「月に1回くらい、特別なときに(たこ焼きを)食べています」

食の多様化が進み、アメリカでも高まるタコの需要。そうした中、タコを養殖する研究も進められてます。

その研究は日本でも。私たちは、瀬戸内海に浮かぶ広島県の百島を訪れました。ここでは、9年ほど前からマダコの養殖を研究しています。

記者「生まれてから102日目のタコです。手のひらと比べてみると、同じくらいのサイズがあります」

2ミリほどで生まれたタコがおよそ100日でこの大きさに。

研究統括・伊藤篤博士「冷凍のアキアミとかオキアミ、魚、巻き貝などいろいろなものをあげてます」

食べ残すほどの餌を与えないと共食いしてしまうというタコ。それを防ぐため、1日に4回餌をやり、食べ残しを掃除するなど手間がかかると言います。

さらに…

伊藤博士「脱走防止のためにスポンジを貼り付けています」

タコが吸盤を使って水槽の外に出るのを防いでいました。困難が多い中でも、研究を続けるワケとは。

伊藤博士「いま、世界の国あちこちでタコを食べるようになってきました。なので、日本がタコを買えなくなってきてるという問題があります」

日本の食文化を守っていくために、養殖技術の確立が必要だと言います。ところが、アメリカでは反対の動きが。

米下院議員 スティーブ・ベネット氏「タコのことを考える仲間のみんなに、この法案の是非を問いたいと思います」

先月末、タコの養殖を禁止する法案が賛成多数で可決。日本時間28日、知事が署名し、カリフォルニア州でタコの養殖が禁止されることになりました。

街の人は──

「持続可能でないなら、養殖はよくない」「養殖の全面禁止がいい案だとは思いません」

すでにワシントン州はタコの養殖を禁止。影響力のあるカリフォルニア州での成立を受け、今後さらに他の州にも広がりそうです。

法律レベルでのタコの養殖禁止。背景には、動物福祉の考え方がありました。

法案を提出した米下院議員 スティーブ・ベネット氏「もともと群れる習性のないタコを捕らえて繁殖させようとするのは不適切だし、動物虐待とさえ言えるでしょう」

養殖禁止を支持する科学者は──

マイアミ大学 ジェニファー・ジャクエット教授「タコは記憶力が良く、人を見分けることもできます」

知能が高く、人と気持ちを通わせることもあるというタコ。

ジャクエット教授「豚や牛、鶏など、大量生産される動物にも知性はあります。しかし、これらの家畜にはすでに巨大な産業システムがある。タコの養殖については、世界的な産業になる前に介入できる今こそがまたとないチャンスなんです」

タコの養殖をめぐるアメリカでの動き。私たちの食について考えるきっかけにもなりそうです。