3月10日に撮影したマクサーの衛星画像。埠頭に停泊する周級潜水艦が写っている/Courtesy Maxar Technologies

(CNN)中国の最新鋭原子力潜水艦が今春に埠頭(ふとう)で沈没し、中国海軍はこの件を隠匿しようとしていたことが分かった。米国防当局者2人が明らかにした。

この攻撃型潜水艦は、武漢市近郊の造船所で建造中の新しい「周」級潜水艦の1番艦だという。周級潜水艦は特徴的なX字型の船尾を持ち、水中での操縦性が強化されている。

米マクサー・テクノロジーズが3月10日に撮影した衛星画像には、同潜水艦が港に停泊している様子が写っている。マクサーが6月後半に撮影した別の画像では潜水艦は埠頭に戻っていなかった。この画像はCNNも確認した。

造船所での不審な活動に最初に気づいたのは、新米国安全保障センターの非常勤上級研究員トム・シュガート氏だ。同氏は中国の造船所の衛星画像を定期的に調査している。

シュガート氏はこれまで造船所にクレーンが1台あることはあっても「(1カ所に)クレーンが密集しているのは見たことがなかった」と話す。

シュガート氏によると、通常、潜水艦は進水後、艤装(ぎそう)のため造船所に数カ月間とどまるが、大型で特徴的なX字型の船尾を持つこの潜水艦は造船所からいなくなっていた。

中国は、米国に匹敵する世界クラスの軍隊の構築を目指しており、人民解放軍(PLA)海軍と潜水艦部隊の近代化を最優先事項の一つに掲げている。2023年に公表された中国軍事力に関する最新報告書によると、PLAは弾道ミサイル原子力潜水艦6隻、攻撃型原子力潜水艦6隻、通常動力型潜水艦48隻を運用している。

米海軍は、高速攻撃型潜水艦53隻、弾道ミサイル潜水艦14隻、誘導ミサイル潜水艦4隻を保有している。米国の潜水艦隊はすべて原子力型だ。

国防当局の高官によると、潜水艦の沈没時に核燃料が搭載されていたのかどうかは不明。

このニュースは米紙ウォールストリート・ジャーナルが最初に報じた。

ワシントンの中国大使館の広報担当者は「言及されている状況についてはよく知らず、現時点で提供できる情報はない」と述べた。