富裕層投資家、米大統領選にらみ運用見直し検討=UBS調査

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Tatiana Bautzer

[ニューヨーク 26日 ロイター] - スイス金融大手UBSが26日公表した調査結果によると、富裕層投資家の77%は米大統領選をにらんで運用資産見直しを検討している。

大統領選で経済が最も重要な問題とみなした富裕層投資家は全体の84%。ただ民主党候補ハリス副大統領と共和党候補トランプ前大統領のどちらが経済を巧みに運営できるかについては、51%がトランプ氏、49%がハリス氏に軍配を上げ、見方がほぼ真っ二つに分かれた。

トランプ氏を評価した向きは、税制や規制緩和、移民政策などを理由に挙げた。ハリス氏が好ましいと答えた人々が注目したのは、中間層や医療、グリーンエネルギー、米連邦準備理事会(FRB)の独立性尊重といった姿勢だ。

ハリス氏の政策では素材、ヘルスケア、ハイテクなど、トランプ氏の政策ならば防衛、エネルギー、工業はそれぞれ恩恵を受けるとの見方が示された。

UBSグローバル・ウエルス・マネジメントのシニア・ポートフォリオマネジャー、ジェーソン・カッツ氏は、全ての選挙において投資家が運用のための手がかりを求めるのは普通のことだが、同社は今回の大統領選に関しては慎重な対応を勧めていると説明。「投資でも税対策でも劇的な変更はしないよう助言している」と述べた。

カッツ氏によると、選挙後の経済情勢は、どちらの大統領候補が勝つかだけでなく、議会の勢力図がどうなるかにも左右される。現在議会は上院で民主党、下院で共和党が優勢だ。

同氏の見立てでは、トランプ氏が返り咲けば輸入関税引き上げでインフレが進む一方、規制緩和でM&A取引意欲が高まり、金融と化石燃料のセクターが最大の追い風を受ける可能性がある。

ハリス氏が勝てば、厳しい規制が維持されて金融と化石燃料のセクターに悪影響を及ぼす半面、再生可能エネルギーや一部の工業、素材などは政策のメリットを享受してもおかしくないという。

ただカッツ氏は、ハリス氏勝利でも民主党が議会を完全にコントロールできなければ、増税案の承認は難しいとみている。