斎藤元彦知事

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 パワハラなどの疑惑告発文書問題を巡って兵庫県議会で不信任決議を受けた斎藤元彦知事(46)が26日、県庁で記者会見し、30日付で自動失職して出直し選挙に出馬すると表明した。議会解散の選択肢は「私の中では最初からなかった」とし、「改革を止めるわけにはいかない」と改めて続投に意欲。道義的責任については最後まで明言を避け「辞職」ではないことを強調した。

 斎藤知事は2時間20分にわたって淡々と、自動失職と出直し選挙への出馬について説明した。不信任決議は議会開会日の19日に全会一致で可決。10日以内に辞職・失職か議会解散の決断を下す必要があったが、「議会解散は私の中で最初からなかった。私のこれまでの対応が問題視されており、自ら信を問うのが大事だ」と語った。

 会見冒頭から、コロナ対策に退職金カット、県立大学の授業料無償化、若い世代への投資など、就任から3年間の実績をアピールし続けた。「力不足ということはあると思います。けれども、私はこの兵庫県が大好き。県を、もっともっと良くしていきたい。これからもぜひ続けさせていただきたい」。決断したのは25日朝。高校生から「辞めないでほしい」との手紙をもらったことがきっかけだったという。「未来のために頑張ってほしいというお手紙をいただきまして、すごくグッときました」と、目に涙を浮かべた。

 一方で、議会の不信任決議に対しては「議会の判断だが、本当に知事が辞職すべきものなのかという思いが根底にある」と、恨み節を漏らした。疑惑告発文書問題では、告発した元県民局長が7月に死亡したが、「道義的責任という言葉は辞職につながる言葉だと私は理解していた。辞職は選択肢になかったが、今の状況を招いていることに対して大きな責任がある」と、最後まで謝罪はしなかった。

 斎藤氏が辞職を選ぶと、再選しても従来任期の来年7月までしか在任できなかった。自動失職後の知事選で再選した場合は、公選法の規定で新たな任期は4年となる。県選挙管理委員会によると、知事選は18億円程度かかるとみられる。

 一連の問題で県政の混乱を招き、3年前の知事選で推薦した日本維新の会や自民も離反。県議会からは全会一致で不信任決議を突きつけられており、出直し選はイバラの道が予想される。維新の馬場伸幸代表はこの日、推薦について「これまでの経緯から考えると非常に難しい」と早々と明言。斎藤氏も「政党の力を借りるのは難しい。一人でやっていくことになり大変だと思うが、自分流の選挙をやる」と、政党の支援などは求めない考えを示した。