1回無死一塁、牧の中前安打で三塁を狙った一塁走者・梶原を好送球でアウトにするオコエ(カメラ・相川 和寛)

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◆JERA セ・リーグ DeNA4―12巨人(26日・横浜)

 打線改造が的中した。阿部慎之助監督(45)の決断が風向きを変えた。将来も見据えて32試合連続スタメン起用してきた浅野を外し、4か月ぶりに2番に抜てきしたオコエが3安打1犠打、1補殺と攻守で大活躍だ。「いや、あの、神様に言われました。ヘッドコーチの推薦もあったし、守備でも躍動してくれた」。直近3戦でわずか1得点だった攻撃陣の流れが変わり、先発全員18安打12得点につながった。

 背番号50が救ってくれたと言っても過言ではない。3点先制した直後の初回無死一塁、牧の中前安打に猛チャージして三塁にノーバウンド送球。俊足の梶原を間一髪、アウトにする堅守で救った。2回は1死二塁から右前安打を放って得点に絡む二盗を決めた。指揮官にスタメンを進言した二岡ヘッド兼打撃チーフコーチは「翔吾(浅野)も出ずっぱりでしたし、オコエはバントもうまいので」と説明。19歳の浅野の疲労も考慮される中、今季2度目の猛打賞で期待に応えた。

 7日のDeNA戦(東京D)は途中出場して引き分け寸前の12回2死からサヨナラ弾を放ち、阿部監督からは「打撃練習は3億円プレーヤー」と称された。12日の広島戦(マツダ)は1番スタメンも4打数無安打で「やっぱりダメですね、スタメンは」と少し辛口な評価をされていた。残り5試合の勝負所で先発のチャンスを得たオコエは「マジックがついて戦っているのも初めて。引き締まる思いでやっています。監督がこの前『力め』と言っていましたが、力まないようにと思っても力んじゃうので参考にしています」と阿部イズムを胸に力を発揮した。

 25日はDeNAに0―1で完封負け。一夜明け、試合前のミーティングで阿部監督が前向きな言葉をかけた。「もう、なるようにしかならないからって。一生懸命やればいいよって。それしかない。マジック出てるけど、どういう状況になるかもまだまだ分からないし、最後の最後まで。というのは言った」。5番・左翼で起用して2安打2打点の長野については「やっぱ困った時のベテランじゃないけど、存在感を出してくれたね」と称賛した。

 2回は一塁走者・長野、三塁走者・岡本和で重盗も成功。「あれはサイン出してないので。選手たちが勝手にやってくれた」。2回までに4盗塁と足も絡めて左腕・ケイを攻略した。

 最後にオコエを称賛しつつ、つけ加えた。「明日、調子に乗らずにやってほしいなと思いますね」。チーム全員に向けた言葉にも聞こえた。残り4試合でマジック3。追い風が吹いてきた。(片岡 優帆)