日本ハムが、就任3年目で1年契約を結んでいる新庄剛志監督（52）に来季の契約延長をオファーする方針を固めたことが26日、分かった。2年連続の最下位から今季は2位と躍進。この日の楽天戦で勝利し、就任後初で18年以来6年ぶりとなるクライマックスシリーズ（CS）進出に導いた。球団は手腕とともに、ファン、選手を愛する姿を高く評価。誠意を持って続投を要請する。

　就任3年目の今季、「Bクラスなら辞める」と不退転の覚悟で臨んだ新庄監督が就任後初で6年ぶりのCS進出を決めた。先入観にとらわれない柔軟な起用、采配が結実。球団はその手腕を高く評価し、来季の続投を要請する方針を固めた。

　就任から2年続けて最下位に沈んだが、躍進を果たした。1年目の22年は「トライアウト」と位置付け、支配下69人のうち68人を1軍で起用。本拠地をエスコンフィールドに移した昨季は6月には一時4位まで浮上するなど徐々にチーム力を底上げした。2年間の下地づくりが今季、結果となって開花。残り7試合で72勝56敗8分け、今季最多にあと1の貯金16としてAクラスを確定させた。CSファーストSの本拠地開催となる2位確定も、あと1勝に迫った。

　監督ながら「職業はモチベーター」と話し選手の意識向上に努め、個々の能力を引き出した。また、本職が捕手の郡司を三塁手に転向させ、正捕手には高卒6年目の田宮を抜てき。前半戦で4番を担ったマルティネスら捕手登録4選手を同時起用するなど、適材適所の選手起用も快進撃を支えた。就任以来磨き上げた走塁や小技への意識も浸透。今季は重盗やスクイズなどで多くの勝利をつかんだ。

　采配に加えて、ファンを何より大事にする姿勢も不変だった。5月29日の甲子園での古巣・阪神戦では、阪神入団当時の背番号「63」と「新庄監督」の文字が入った縦じまのユニホーム姿で登場する罰金覚悟のサプライズ。本拠地初開催の球宴第1戦での出場9選手の球団歴代ユニホーム着用も指揮官の発案で、常にファンを楽しませる姿勢を貫いた。

　ただ、就任から毎年1年契約を結んできた新庄監督はかねて「俺はマックス3年」と言い、CS進出を決めた試合後も来季について「まだビジョンが浮かんでこない」と語るにとどまった。現役時代は日本ハムで日本一を達成した06年に引退している。決断は指揮官に委ねられるが、球団は最大の誠意を示すことになる。