不信任決議「職を辞すべき事なのか」斎藤元彦兵庫県知事が失職と出直し選挙を決断

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パワハラ疑惑などで不信任決議が可決された、兵庫県の斎藤知事が会見しました。
30日付で失職し、出直し選挙に出馬することを表明しました。

26日に行われた会見は2時間を超え、涙ぐむ場面もありました。

選んだのは失職、そして出直し。

兵庫県・斎藤元彦知事:
議会の解散っていうのは、最初からなかったと。辞職という自ら職を辞するということは、選択肢としては考えてなかった。

26日の進退表明会見で知事は、「そして…お力をですね。高校生が私に対してエールをわざわざ届けてくれましたんで」と、県民の応援の声が届いたことに声を詰まらせたかと思えば、議会の判断には強い不満をのぞかせました。

斎藤知事にとっては、出直し選に向けた猛アピールの場だったのか。

“パワハラ”そして“おねだり”など数々の疑惑が噴出し、県議会での不信任決議案が全会一致で可決されていた斎藤知事。

県議会の不信任決議から1週間。
進退判断のリミットが目前に迫る中、午後3時から緊急会見を開きました。

兵庫県・斎藤元彦知事:
結論から言いますと、今回の不信任決議案を受け、議会の解散はせず、30日付で失職をする。そして次期知事選において出直し選挙に臨ませていただくと。

選んだのは、自ら知事職を降りる「辞職」ではなく、地方自治法に基づき9月30日付に自動で行われる「失職」。

そのすぐ後に話し始めたのは、斎藤県政の実績でした。

兵庫県・斎藤元彦知事:
行財政改革の成果と、あとは税収も伸びているという中で、いろんな改革を進めていく中で、確かに反発もあったと思いますけども、これまでの既得権、それからしがらみから脱して。

約5分間にわたり改革を行ってきたと強調。

一方、その次に続いた文書問題についてのおわびに触れた時間は、1分余りでした。

兵庫県・斎藤元彦知事:
文書問題が発覚してから、一つ一つ対応は、私としては積み重ねてきましたけども、“結果として”このような状況になっているということは、やはり私の“力不足”であった。

質疑応答前の10分余りのスピーチで締めたのは、再選に向けた県民に対する涙の訴え。

兵庫県・斎藤元彦知事:
ぜひ、今回の私の判断についての県民の皆さんのご理解、そして…お力をですね、また、ぜひ与えていただければありがたいと。

質疑応答を通じても、斎藤知事は県民からの応援の声をアピールする場面が。

例えば、「今回の決断をいつ決めたのか」という質問には、「きのう、ぶら下がりをやらせていただいた時に、終わった後に高校生が私のところに来られて、手紙を渡していただいたんですね。世間も厳しい目で見てるかもしれないけど、やっぱり私としては、その彼としては、負けないで、屈しないで、高校生が私に対してエールをわざわざ届けてくれましたんで、それがやっぱり、まだまだこんな自分でも期待してくれる人がいるんだということを」と答えました。

しかし、パワハラ疑惑などを告発した後に死亡した元県幹部への責任を問われる場面では、口調は一変します。

兵庫県・斎藤元彦知事:
一人の人が亡くなったということは、大変重い事実だと思います。これは私もこれまで言ってる通り、すごく悲しいことだし、残念な思いであります。

そんな中、斎藤知事の本音が最も見え隠れしていたのが、自ら知事職を降りる「辞職」ではなく、「失職」を選んだことについてでした。

兵庫県・斎藤元彦知事:
出直し選挙というものは、今回失職ということで、「場合によっては必要かな」と思ってましたけど、辞職をするという選択肢は、もともとなかったですね。

さらに、議会からの不信任決議が全会一致で可決されたことに話が及ぶと、「『職を辞すべき事なのか』というものが根底にあるというのが正直なところ。確かに机を1回たたいたり、付箋を投げたということは良くない行為ですが、議会のご判断ではありますが、私はそこは少しやっぱり、『本当にそこまでいかなきゃいけなかったのか』という思いは正直あります」と話しました。

百条委員会などで、一連の問題に対する道義的責任が何か分からないと発言したことについては、「道義的責任というのは、日本の社会だと責任を取って、まずは辞めるということになる。道義的責任を認めるということは、ある意味辞職をするということになる。前から言っています通り、責任というのは辞めるというよりも続けていくこと。(何をどのように変えたい?)この3年間、私がやってきたいろんな政策というのは、県民の生活や学校生活とかに直接届く事業に振り向けていきたい」と語りました。