被災地を視察する石川県馳浩知事(写真・共同通信)

 9月26日午前現在、死者11名、行方不明6名と、甚大な被害をもたらした能登豪雨。孤立集落では自衛隊のヘリによる救助活動が続いているが、一般家屋の復旧のため、ボランティアも続々と現地入りしている。

石川県は、NPO団体やボランティア団体と緊密に連携して、ボランティアのみなさんの被災地入りをおこなっています。おもに住宅からの泥のかき出し、家具の搬出などの手助けが作業の中心です。しかし道路が寸断されていたり、宿泊施設が足りなかったりするため、活動は思うように進んでいません」(社会部記者)

 2024年1月1日には、最大震度7の巨大地震が能登を襲った。そこからの復興も、いまだ進んでいない状況だ。地震直後に本誌が現地を取材した際も、倒壊したままの家屋や、ひび割れた高速道路が見られた。こうした震災の爪痕が、豪雨災害からの復興・復旧作業を妨げているのだ。

 石川県馳浩知事も、これに危機感を抱いたのか、珠洲市、能登町、輪島市を連日にわたり視察しているが……。そうしたなか、知事の「不用意なひとこと」がひんしゅくを買っているという。

「9月24日に開催された災害対策本部会議で、知事は『被災者の方々から、とにかく電気、水、通信のライフラインの確保をお願いしたいとの、切実な声をちょうだいした』と住民の要望などを紹介しました。

 その際に『1日も早い復旧のためには、ボランティアのみなさんのお力が不可欠』と訴えましたが、『1日も早く、泥かきなどのボランティアを大規模で投入する必要があると痛感した』とも述べたのです。この『投入』という言葉に批判が集まってしまいました。

 1月の能登地震の際にも、ボランティアの宿泊施設の整備不足などを記者陣から指摘されており、かねてから馳知事の“ボランティア軽視”の姿勢は指摘されてきました。この姿勢がいまだに変わっていないと感じた人が多いからこそ、この『ボランティア大量投入』のひとことに火がついてしまったのでしょう」(前出・社会部記者)

 たしかに、慈善行為をおこなっているボランティアの方々を、まるで自らの指揮命令系統下にあるような発言ととれなくもない。

 Xにも《ボランティアをあたかも自分の部下扱い》《アルバイトでも募集するつもりの感覚》《ボランティアは、都合のいい無償の労働力かい。もう少し、ボランティアの方々をリスペクトしよう》など批判のポストがあがっていた。

 ネット上には、「言葉尻をとらえるな」「あげ足取りだ」と、馳知事を擁護する声もあるが、言葉ひとつで信頼関係が崩れることもある。馳知事と石川県民の信頼関係は、いま、良好だろうか――。