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近年の研究で、脳と腸の密接な関係「脳腸相関」が解明されるなど、腸への関心は高まるばかりです。消化器専門医である江田先生いわく、海藻は腸内細菌に優れた影響を与え、健康効果につながるとのこと。そこで、料理家の井澤さんによる、さまざまな海藻をまるごと使えるレシピ本『腸活のスーパーフード まるごと海藻レシピBOOK』より、一部抜粋してご紹介します。今回は、日本人が持つ腸内細菌ついて。さらに、湿気たのりを使ったレシピも――(取材・文/川越光笑、撮影/宮濱祐美子)

【写真】湿気ているのりを、チョレギサラダで美味しくアレンジ

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居住地域によって腸内環境が異なる不思議

腸内細菌では、おもしろい例があります。

高地に住むパプアニューギニアの民族は、主食がさつまいもでほとんど肉を食べませんが筋肉質です。

なぜなら、彼らの腸の中には「窒素固定菌」が存在し、いものでんぷん(糖質)からアミノ酸を生成し、筋肉が作られるからです。

それと同じく、日本人は西洋文化が入ってくる明治時代までは肉をほとんど食べず、海藻や野菜、魚介類のたんぱく質で栄養を取り、筋肉をつけてきました。

欧米の肉食文化も、同様に地理的な理由があるのです。

日本人特有の腸内細菌

日本人の腸内細菌研究で明らかになってきたことがあります。


『腸活のスーパーフード まるごと海藻レシピBOOK』(著:井澤 由美子、医学監修:江田 証/家の光協会)

日本人の腸内には、のりに含まれるポルフィランを分解する酵素をもつ「バクテロイデス・プレビウス」という腸内細菌が多いということです。

つまり、のりを食べて栄養に変えることができるのです。この菌は日本人の約90%がもっていますが、日本以外の国の人たちは約15%しかもっていません。

このように、腸内細菌は居住環境により異なり、日本人にとって、海藻はとても相性のよいたんぱく源だといえます。

海藻は食べすぎると害になる!?

海藻というと、昆布などに含まれるヨウ素やひじきに含まれるヒ素が気になる方は多いようです。

そもそもヨウ素は甲状腺ホルモンを作るための大切なミネラル。基礎代謝や発育を促進し、髪や肌、爪を美しく保つ役割があります。

健康な人であれば通常の食生活で取りすぎることはありませんが、昆布は中でもヨウ素が多いため、毎日大量に食べるのは控えたほうがよいでしょう。

また、ひじきに含まれるヒ素については、「日本人1人あたりのひじきの摂取量は平均して約0.9g/日。体重50kgの人が毎日4.7g以上を継続的に摂取しない限り基準値を超えない」(厚生労働省)とのこと。

どんな食材でも取りすぎは禁物。バランスのよい摂取を心がけましょう。

湿気たのりの活用レシピ

のりが湿気てしまい、パリッと感がなくなってしまっても、使い道は十分あります。

ここで紹介するチョレギサラダのほか、煮物や和え物、炒飯に混ぜても。のりのしょうゆ麹や甘くないのりの佃煮もおすすめです。

●チョレギサラダ

【 材料 】
レタス … 小1/2個
焼きのり … 全形1枚

A
塩 … 小さじ1/2〜1
ごま油 … 大さじ1
にんにく(すりおろし) … 少々

白炒りごま … 適量

【 作り方 】

(1)ボウルにAを入れてよく混ぜ、のりをちぎって加える。

(2)レタスを食べやすい大きさにちぎり、(1)に加えて和える。器に盛り、ごまを散らす。

※本稿は、『腸活のスーパーフード まるごと海藻レシピBOOK』(家の光協会)の一部を再編集したものです。