成長意欲がない、失敗したくない、叱られたくない…調査でわかった「Z世代」の若手社員の特徴
「Z世代」と呼ばれる、昨今の若手社員。成長意欲がない、失敗を恐れて挑戦しない、叱られる耐性がない……。こうした特徴が、さまざまな調査から浮かび上がってきた。そんな彼らとどう向き合えばよいか、『7つの“デキない”を変える “デキる”部下の育て方』の著者で、人材育成のプロとして知られる井上顕滋氏と考える。
成長意欲がない今の若手社員たち
部下との関わり方に頭を悩ませている上司からは、部下にあたる若者世代との考え方のギャップを感じるという意見が頻繁に上がります。
いわゆるZ世代にあたる90年代半ば〜00年代初頭生まれの若手社員を部下にもつ人も増えてきており、仕事に対してどのような認識をもつ世代なのかを知っておく意義は大いにあると思います。
さまざまな調査で取り上げられているのが、部下自身に成長意欲がないという問題です。
入社1〜2年目の社員を対象に行われた日本能率協会マネジメントセンターの「イマドキ新入社員の仕事に対する意識調査2022」によると、自分が成長することについてどのように考えるかという質問に対して、「無理のない範囲で業務に取り組みたい」と回答した1〜2年目社員の割合が「一時的に業務の負荷や労働時間が増えても挑戦したい」と回答した人の割合を上回りました。
注意を受けることへの耐性もない
さらに、一人で担当につけるようになったらどのような仕事を任せてもらいたいかという質問では「失敗したくないので、責任ある大きな仕事は任されたくない」と回答した人が5割以上にのぼっています。
近年、働き方の価値観が多様化するなかで、出世よりも家族との時間や趣味にかける時間を重視する人が増加していることが一因にあると考えられます。
また、リクルートワークス研究所が大企業に勤める社員を対象にした就労状況定量調査（2021年）では、新入社員期に上司・先輩から叱責される機会が「一度もなかった」という人の割合は、1999〜2004年卒では9.6％だったのに対し、2019〜2021年卒の社員では25.2％でした。
つまり、最近の若手社員の4人に1人は上司や先輩から一度も叱責されたことがなく、したがって注意を受けることへの耐性がないことが考えられます。
また、日本能率協会マネジメントセンターの「イマドキ新入社員の仕事に対する意識調査2022」を見てみると、「上司・先輩から叱られたら、その後、どのような関係を持とうと思いますか」という質問に対し、新入社員の4割が「一定の距離を置きながら、あまり関わらないようにしようと思う」と回答しています。
こうした若手に上司はどう対応するか？
「自分の価値観・考え方と合わない上司に対して、どのように関わっていこうと思いますか」という質問に対しては、「自分から歩み寄ろうとは思わない」と回答した人が約6割にのぼりました。
その半面、「仕事で行き詰まっているとき、どのように感じますか」という質問については半数以上が「行き詰まっている状況を上司・先輩に察してもらい、向こうから話しかけてもらいたい」と回答しています。
これらの結果をまとめると、出世への意欲が見られなかったり、失敗を恐れて挑戦しなかったりする社員は特別珍しくはないことが分かります。
現在の若手社員は「価値観の合わない上司には近づきたくないけれど自分が困っているときには察して話しかけてもらいたい。ただ、叱られたら一定の距離をおいてあまり関わらないようにする」というスタンスということになりますから、上司はより細かな配慮が必要になってくるわけです。
このような若手世代の傾向が、ただでさえ部下の育成に四苦八苦している上司をさらに悩ませている要因だと考えられます。
