【スギ アカツキ】いま再び「アサイーボウル」が流行している…背景にあった、意外な「韓国文化」からの影響

写真拡大 (全8枚)

「アサイーボウル」の再流行

今年に入り流行の兆しを見せているのが、「アサイーボウル」。アサイーとはブラジルのアマゾンを原産とするヤシ科の植物。ブルーベリーよりひと回り大きい黒紫色の実が、ポリフェノール、鉄分、ビタミンE、不飽和脂肪酸、抗酸化成分を蓄えていることで注目され、2000年代に入り日本に上陸しました。

冷凍された高濃度アサイーピューレを豆乳、ヨーグルト、バナナなどと攪拌して、シリアルやフルーツと組み合わせたものがアサイーボウルとして女性を中心に人気となっているのです。

しかしながら、「えっ、ちょっと前に流行ったよね?」と疑問を持つ方も少なくないでしょう。確かに日本では2010年頃からのハワイグルメブームの流れに乗るかたちで、パンケーキに続いてアサイーボウルが2013年に流行。翌年には市場規模が50億を突破し、“スーパーフード”の代表格として一世を風靡しました。そして一度は人気に陰りを見せたものの、10年ぶりに再び注目されはじめているようなのです。その理由とは一体……?

結論から先に申し上げると、アサイー再ブームの大きな要因はズバリ、韓国カフェの存在にあり。エンタメやファッションにおいてトレンド発信力を持つ韓国のカフェ文化で生まれた“あるトレンドフード”が今、アサイーと共に日本でも影響を与えているのです。ポストコロナのハワイ人気再燃や健康志向の高まりも後押しする背景の中、韓国カフェが生み出した新しいトレンドフードとは? ここではその魅力と人気の理由はもちろんのこと、韓国ならではの食文化の背景を紐解くことで、アサイーボウルリバイバルのヒミツを考えていきたいと思います。

韓国でブームのグリークヨーグルト

アサイーボウルと共に人気を集めているのが、「グリークヨーグルト」。以前流行ったギリシャヨーグルトとは別物だという。

実は今回、アサイーのリバイバルを盛り上げている相棒に、「グリークヨーグルト」の日本上陸があります。これは2011年に“第三のヨーグルト”として登場し定着したギリシャヨーグルトの進化版。グリーク(Greek)とは“ギリシャの”という意味で、原材料や濃縮法を工夫することで従来のギリシャヨーグルトよりもさらに濃密でもっちり感があり、生クリームのようなミルキーさが特徴になっています。韓国で大ブームとなりそれが日本にも広がる形で2024年代に都心を中心として「グリークヨーグルト専門店」が続々オープンしています。

10年前のアサイーボウルとの「違い」

この状況をもう少し俯瞰して見ていくと、話題のグリークヨーグルトを提供している日韓のカフェメニューではアサイーボウルが並んで紹介されているケースが多いこと。そしてどちらもSNS映えする圧倒的なインパクトや美しさがあり、既存の食材や調理法を韓国流に再解釈したことで生まれた“目新しいオシャレなヘルシーフード”として存在感を放っていることに気がつきます。つまりアサイーボウルの再ブームは、単にそのまま復活したのではなく、韓国スタイルという新しい要素が融合することで、確かな進化を遂げていると考察できるのです。

スーパーフードのアサイーや健康食材であるギリシャヨーグルトはこれまで長く愛されてきたブラジル、ハワイ、ギリシャの3カ国の食スタイルに韓国ならではのエッセンスが融合したことで、現代女性の心をがっちりつかむことに成功したといえるでしょう。

ではなぜこのような成功が韓国で生まれたのか? 実は、韓国カフェメニューのSNS映えするスタイリッシュさは偶然の産物ではありません。韓国が重ねてきた食文化を振り返り掘り下げていくことで、その確かな理由を見出すことができます。ここからはその具体例をご紹介していきましょう。

「五味五色」が美しい健康食を生み出す源泉

韓国の食文化には古くから「五味五色」という考え方があります。これは5つの色の食材を5種類の味に味つけした料理を食卓に並べることで、栄養バランスのとれた健康的な食生活が送れるというもの。五色の基本は青(緑):緑野菜、赤:唐辛子、黄:卵黄、白:卵白、黒:海苔。その他にもさまざまな食材を、色味を考えながらバランスよく使って五味で調味し、多彩な料理が食卓に並ぶのです。

例えば家庭料理として有名な「ビビンパ」は、一皿で五味五色を味わえる料理のひとつ。豆モヤシやホウレン草などのナムル、卵や肉そぼろなどをごはんの上にキレイに並べ、コチュジャンや塩、コショウ、ショウガなどと一緒に混ぜていただきます。毎日たくさんのおかずを並べる韓国の家庭において、半端に残ってしまった常備菜をご飯の上に盛り付けることで生まれたメニュー。残り物を活用したとは思えないごちそう感を感じるヘルシーメニューです。

他にも韓国宮廷料理には欠かせない九節板(クジョルパン)。9つに仕切られた器に、せん切りにした8つの具材とそれを包んで食べるための皮を盛り合わせた料理で、同コンセプトがわかりやすく体現されています。

このように、食材や調理法の多様さを組み合わせた食文化が韓国において長く大切に継承され、時代とともに進化していることは、韓国が生み出しているトレンドフードの世界観とは無縁ではないでしょう。見た目が美しいこと。食べた時においしいこと。栄養バランスに富んでいること。これらをあわせ持つ健康料理を生み出すことに長けた韓国が、日本や世界を魅了する食ブームを生み出すことは決して偶然ではありません。

「アメリカ」スターバックスの客離れが止まらない…いま絶好調な「日本」でも、起こりうるかもしれない事態