「既婚者専用マッチングアプリ」には落とし穴も…(イメージ)

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 マッチングアプリ全盛の今、既婚者同士が“大人のお友達”を見つけるための「既婚者専用マッチングアプリ」なるものが登場。利用者が増えているという。だが、そこから“男女の関係”に進展し、泥沼の展開に陥ることも……。

【写真】既婚者だけが集まる「不倫街コン」 も開催されている

 TBSテレビの50代男性社員が40代女性に対する「不同意性交」容疑で9月6日に書類送検された。今年5月、都内のカラオケ店で行為に及んだという。男女が会ったのは2度目で、食事後にカラオケ店に移動した。男性は警察の調べに行為があったことは認めたが「同意があった」と主張している。

 真相解明とは別に、事件の報道で注目されたのは、2人が出会ったのが「既婚者専用マッチングアプリ」だった点だ。マッチングアプリは男女の出会いのツールとして一般化したが、主な利用者は独身の男女だった。「既婚者専用」とは、そもそもどんなアプリなのか。マッチングアプリに詳しいエッセイストの日向琴子氏が解説する。

「既婚の男女が“新たな友人”に出会うために利用するアプリです。家庭内での夫や妻、父や母といった役割から離れ、『既婚者ならではの悩みを分かり合える相手を見つけよう』などと謳っているものが多い。どのアプリも質問欄などで『不倫が目的のサービスではありません』と明示しています」

 サイト上ではそれぞれが「利用の目的」を登録し、マッチングを目指す。

「『ドキドキできるお相手探し』『趣味友探し』『ご飯・飲み友探し』など事細かな項目から目的を選ぶことができます。アプリによっては『セカンドパートナー探し』など踏み込んだ選択肢があるケースもあります。

 特に女性は同性の友人に相談しにくい悩みを話せる相手を探している人が多い印象です。家族への“身バレ”が心配だと思いますが、ほとんどはスマホなどの端末にダウンロードするのではなく、利用するたびにサイトにアクセスする方式です。ホーム画面にアイコンが残らないので、スマホを覗かれただけではバレません」(同前)

いきなり男性の妻を名乗る女性から連絡が

 一方、本来の利用目的から外れ、「不倫相手を探す」ための場となってしまっている現状も否めないという。

「『セカンドパートナー探し』などの目的を選択する男女のなかには、一夜限りの“男女の関係”になる相手を探す場として利用している人もいるとされます。ただ、『街コン』などと違って会うまでは相手のルックスが分からないことが多いようです。

 既婚者専用アプリはプライバシーを大事にしているので、匿名でプロフィール写真もぼかすのが一般的です。マッチング相手を探す際は身長や体型(スリム、ぽっちゃりなど)のほか、会いやすい時間帯、会う前の写真交換の可否を訊ねることができます。『妻や夫との関係継続に関する考え』といった問いへの回答なども、相手を探す条件に指定できます」(同前)

 既婚者アプリで“パートナー”に出会った48歳の男性会社員・Tさんが言う。

「子供もおらず妻とはめっきり冷めた関係になってしまい、家のなかでは息が詰まる。せめて同世代の女性と世間話がしたくて妻に内緒でコッソリ登録しました。そこで出会ったのが、40歳の人妻女性。ふっくらとした優しげな容姿で、彼女からは夫や家族の悩みを含めて、様々な話を聞いていました。

 ある時、『将来の介護を考えて今年、アンダーヘアの脱毛をした』『セックスレスで夫には見せていない』という話をしたことがきっかけで、思いがけずそういう雰囲気になり、男女の関係になったんです。その後もやり取りを続けていて、彼女の子育ての愚痴などを聞いています」

 しかしながら、既婚者同士の逢瀬にはリスクも伴う。既婚者アプリに登録して、様々な男性とランチに出かけていた専業主婦のHさん(38)はこんな問題に直面した。

「2つのアプリに登録していたのですが、どちらも男性側が支払う月額料金が比較的高いサイトだったので富裕層の男性が多かった。週に1回程度、そうした男性にランチをご馳走になっていました。

 ですがメッセージのやり取りで、いきなり男性の妻を名乗る女性から『〇〇の妻です。今すぐ夫とのやり取りを止めない場合、弁護士を通して法的措置を取らせていただきます』という連絡がきたんです。向こうは私の素性を調べ上げているのではないかと怖くなり、それ以来、アプリの利用は控えています」

 匿名アプリであるがゆえに“泣き寝入り”せざるを得ない事態に陥った人も。IT企業勤務のYさん(55)が言う。

既婚者アプリで知り合った女性と錦糸町のバーに行ったんです。勧められてドンドン飲むうちに寝てしまい、気付いたら2時間が経過。店に女性の姿はありません。バーテンダーに『女性は何回も起こしましたが、あなたは起きませんでしたよ』と言われて。

 ものすごい頭痛で這うようにして自宅に帰り、翌朝、財布のなかを見たら2万円が消えていた。相手の居場所も本名も分からないまま、音信不通状態に。後ろめたさもあり、今回、初めて人に話しました」

 甘い誘惑にのめり込むと痛い目をみることもありそうだ。

週刊ポスト2024年10月4日号