国連で一般討論演説を行うウクライナのゼレンスキー大統領=25日/Mike Segar/Reuters via CNN Newsource

(CNN)ウクライナのゼレンスキー大統領は25日、国連総会で一般討論演説を行い、ロシアウクライナ原子力発電所への攻撃を計画しているとして、核災害の可能性を警告した。

演説の中でゼレンスキー氏は、ロシアが2022年2月にウクライナに全面侵攻してからほどなくしてザポリージャ原発を攻撃したことで、国民の間にチェルノブイリ原発のような事故が起きるのではないかとの恐怖が広まったと当時を振り返った。それから2年半たった今、ロシア軍が占領するザポリージャ原発は依然として事故が発生しうる状態にあると指摘した。

同原発は欧州最大で、世界原子力協会によると、ウクライナ国内には他に三つの原発がある。

CNNは以前、ウクライナの事業者が昨年6月にザポリージャ原発の原子炉を「冷温停止状態」にしたため、大規模な核災害の可能性は低いと報じた。

英シンクタンク「国際戦略研究所」の専門家、ウィリアム・アルバーク氏はCNNに、「原子炉が爆破されれば、使用済み核燃料が外気にさらされることになり、放射能が広がる」との見方を示した。

そうなった場合、一帯で今後40年にわたり、がん罹患(りかん)率が高くなるなどの影響が見込まれるが、制御不能に陥って炉心融解したチェルノブイリ原発のような災害にはならないとした。

ただ、大規模な核災害の可能性は低い一方で、ウクライナのエネルギー網への脅威は依然として大きい。

ゼレンスキー氏は、「暗闇と寒さ」でウクライナを苦しめようとロシアウクライナのエネルギー網への攻撃を強化していると指摘した。

ゼレンスキー氏によると、国内の火力発電所は全てロシアに破壊され、水力発電所の大部分も発電できない状態で、エネルギー施設の8割が使用不可だという。