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[フランクフルト 25日 ロイター] - イタリアの大手銀行ウニクレディトがドイツのコメルツ銀行の株式の追加取得を目指していることに関し、欧州中央銀行(ECB)の政策を担う幹部6人がロイターに対し、両行の連携には概ね賛成していると話した。ドイツ政府による連携への反対は欧州統合の原則に反しているとも指摘している。

コメルツ銀は2万5000社以上の法人顧客を持つほか、ドイツの対外貿易決済の約3分の1を担い、4万2000人以上の従業員を抱えるドイツ第2位の銀行。中堅企業に多額の融資を行っており、ドイツ経済にとって要の存在だ。一方、コメルツ銀の約3倍の時価総額を誇るウニクレディトは、デリバティブ(金融派生商品)取引などと合わせてコメルツ銀株の保有比率を21%近くまで増やし、ECBの承認を得た上で29.9%まで増やすことを求めている。

こうした動きに対し、ドイツ政府はウニクレディトが「攻撃的な」戦術を取っているなどと反発し、コメルツ銀との合併を目指す計画を撤回するよう圧力をかけている。コメルツ銀の労働組合も人員削減の懸念から反対している。

取引の成立可否に関する最終決定権はECBの政策を担う26人が持つ。また、EU内の複数の国にまたがる大規模な銀行グループの構築は、ECBの長年の目標でもある。

匿名を条件に語った6人の幹部は、ドイツが欧州連合(EU)内での銀行連合の創設や、防衛など他の分野での地域リーダーの誕生を支持していること、また金融政策を含めて自由市場の原則を支持していることを示し、ドイツの対応に不満を表明。今回の案件には原則的に賛成していると述べた。ただ、ECBとしては、政治的な争いの結末に影響を与えることはほぼできないとも述べた。

ウニクレディトとコメルツ銀を巡る決定は、ECBの監査委員会が下す。ドイツのクラウディア・ブッフ氏が議長を務める委員会には21カ国の代表者が参加し、資本や流動性、事業計画、ガバナンスなどの健全性に焦点を当てている。その後、ECB理事会が最終決定する。

関係者によると、この先のECBの判断に当たっての鍵となるウニクレディトによる計画の詳細は、まだ確認されていない。

ウニクレディトのアンドレア・オルセル最高経営責任者(CEO)は25日、コメルツ銀の株式取得は「投資に過ぎない」と述べた。撤退を含めあらゆる選択肢がある中、ドイツ政府と協議したいとの意向を示した。