現役女子大生タレント・中川紅葉のエッセイ連載「ココロすっぴん」


【写真】全力ぞうきんがけ中の中川紅葉

青山学院大学に在学する現役女子大生で、演技やバラエティなどマルチに活躍している中川紅葉さんによるエッセイ連載「ココロすっぴん」。かなりの読書家で、大学生・タレント・インフルエンサーなどのさまざまな顔を持つ彼女が日々感じたことを、忖度なく書き綴ります。

■#37「この時代に、違う価値観を受け入れられないということ」

嫌いな人の好きなものを、嫌いになってしまう。

大学時代、馬が合わない女の先輩がミッフィーを好きだと知り、当時使っていたiPhoneケースを捨てた。ミッフィーが大きくプリントされたものだった。彼女はバンドのandymoriが好きだった。それを知ってから、聴くのをやめた。小柄で可愛いゆるふわな先輩は私と正反対で、いつの間にか仲は悪くなっていて(そりゃそう)、今はもうどこで何をしているのかも知らない。

今では、ミッフィーのこともandymoriのことも許し、小物も集めるし音楽も聴く。それでもまだ、触れると4年も会っていない先輩の顔が浮かぶ。そんなことをスターバックスで斜め前に座っている女性の鞄についたミッフィーを見ながら思い出している。

私は本当に面倒臭い人間だ。

小学校の修学旅行で、私の部屋の枕のシーツが破れていたことがあった。当時から大勢で騒ぐことから一歩引いて傍観するタイプだった私は、違う部屋の友達に会いに行って静かに旅行を楽しんでいた。そろそろお風呂の時間だと自室に戻ろうとした時、先生に捕まった。どうやら枕を破って逃走を図ったと思われたらしい。

泣きながら事情を説明してもなかなか伝わらない。同じ班の皆は明らかに自分より権力も学力もあって、子供ながらに社会の縮図を感じたのを覚えている。そのあと、私が部屋に遊びに行ったMちゃんが、先生に中川はその場にいなかったことを説明し疑いを晴らしてくれた。その時のことをいまだによく覚えている。

同窓会で会ったクラスのマドンナMちゃんは、何年経っても私にとってヒーローだったし、当時同じ班だったあの子は、12年経った今でも、見るだけで何か起きるのではないかとドキドキしてしまう存在だった。

■どうやってもまた心を開き直すことができない

良くも悪くも、いや悪くも悪くも、一回されたこと・言われたことをものすごく引きずってしまう。それが私の一番の弱点だと、最近とても痛感している。ここで人と人は話の折り合いをつけるんだろうなとか、もう水に流して許してあげるんだろうなとか。それができない時がある。意地を張っているとは別の“何か”なのだ。

相手が自分自身のエゴや保身のために話をしていたり、はたまた有利になるように嘘をついているのを見ると、二度と自力では上げられないシャッターが降りる音が聞こえる。「そんな小さなことどうってことないよ!」と許容したい気持ちとは裏腹に、どうやってもまた心を開き直すことができない。

こんな風に、年々じわりじわりと友達の数が減っていっていく。そもそもそんな人は元から合わない関係だったのかもしれないけれど、やっぱりなんだか悲しいのです。それでも人間関係を続けるべきなのでしょうか。

無理をしない人間関係は、どこまでいったらわがままに値するのだろう?そんなことを考えているから、より気難しい人になってしまうのだ。

■【ヒトコト】

と、こんな感じで人と関わるハードルが高い私と何年も一緒にいてくれる親友たちにいつも感心してしまいます。

誰も傷つけず、自分の利己的な気持ちで動いたりしない彼女たちを見ていると、自分が理解できない人間を許容することすら悪く思えてくる。よく「その人といる自分を好きだと思える恋愛をしろ」と言われているけれど、私にとって彼女たちは、遠回しに自分を肯定できる存在だから友達でいられているのかもしれない。

自分と違う人を受け入れよう!の風潮が強くなっていくこのご時世に、こんなことを言っている私の方がマイノリティですか?