Image: MINASE

最近の時計業界では、マイクロブランドがちょっとしたトレンドになっています。

マイクロブランドとは、コングロマリットなどの傘下にない小資本の独立時計ブランドで、製造本数も1モデルにつき数百本程度と小ロット。それだけにフレキシブルな製品開発ができ、個性を活かしたユニークな製品展開が可能です。多くはSNSでの発信力に長けていて、販売経路も小売店よりネットでの直販が中心。それだけコストも抑えられていて、リーズナブルで魅力的な製品が目立ちます。

スイスなどの欧州を中心に、こうしたマイクロブランドが躍進していますが、日本でも地方を中心に新興時計ブランドの動きが活発になりつつあります。その1つが、秋田発のMINASE(ミナセ)です。

見る角度でトーンを変える天然貝

MINASEは切削・研磨工具メーカーのKYOWAが始めた時計ブランドで、そのためケースなどの外装パーツ製造に非常に長けています。熟練の時計職人によるハンドメイドによる工程を多く採用しており、特にスイスの古い研磨機を使った「ザラツ研磨」という仕上げ加工は評価が高いです。

Image: MINASE

新作「DIVIDO 川連螺鈿 “虹の雲”」は、秋田の湯沢で800年以上続く伝統工芸「川連漆器」と地産コラボレーションモデル。漆塗りのベースに天然の貝をあしらった螺鈿細工で文字盤を仕上げています。

攝津広紀氏
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文字盤製作は塗り、蒔絵のほか、螺鈿、琥珀、銀地などの技法で高い技術を誇る名工、攝津広紀氏が担当。ピンク色が角度によってグリーンに移り変わっていくトーンが幻惑的です。これは攝津氏が自ら天然貝のピースを色合わせしていったもの。非常に時間と手間のかかる工程で、こういう製品作りはマイクロブランドならではです。

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ラグの個性的なフォルムや、サファイヤガラスの裏蓋から覗けるムーヴメントのローターが肉抜きされている点など、文字盤以外にも美しさを感じます。

受注は11月末まで

この時計は期間限定で注文を受け付けるモデルで、受注期間は2024年10月1日〜11月30日。12月中旬から順次発送されます。価格はクロコダイルストラップモデルが88万円、ステンレスベルトモデルが102万3000円です。

和の伝統工芸の極みともいえる仕上がりですし、おそらく人と被ることもほとんどない個性派モデルなので、その価値はあるでしょう。現物を見てみたいという人は、受注期間中に東京・御徒町のK CRAFTWORK JAPANで展示されているので、足を運んでみてください。

K CRAFTWORK JAPAN

東京都台東区上野5-9 2k540 ARTISAN F-1

(JR秋葉原駅から徒歩6分、御徒町駅から徒歩4分)

Source: MINASE