ブレイクを予感させる永野(撮影・西岡正)

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 横山武(25)に続き、菅原明(23)、佐々木(20)−。関東から有望な若手が続々と頭角を現してきたが、ネクストブレイク騎手として期待するジョッキーがいる。永野猛蔵騎手=美浦・伊藤圭=だ。今月8日に22歳を迎えたばかりのデビュー4年目。29勝(21年)→30勝(22年)→24勝(23年)と地道に勝ち星を積み重ね、今年は既に関東10位の27勝をマーク。年始に鎖骨を骨折して1カ月ほど競馬に乗れない期間がありながら、早くもキャリアハイを視界にとらえている。

 特に夏の北海道シリーズで存在感を示した。今年は地元の新潟ではなく、函館、札幌にほぼフル参戦。「競馬で自分があまりうまくいっていない部分を勉強したいと思って、北海道に行くことを決めました。馬群をさばく技術だったり、ロスなく乗ることだったり。そういう自分に足りない部分を細かく意識しながら、滞在中に何かつかみたいと思っていました」。

 7月6日のマリーンSをナチュラルハイで制してJRA通算100勝を決めると、減量がなくなった後もしっかりと勝ち星を積み重ねた。最終的に函館&札幌トータルで15勝をマーク。「学べたことは多かったです。いい馬に乗せてもらって勝つこともできて、自信にもなりました」と約2カ月の滞在を振り返る。9月の中山でもグラニット(8日・白井特別)で逃げ切るなど、北海道で培ったスキルを本場でも生かせている。「スタートは大事にしている部分でもあったし、中山に変わってもそれがうまくいったのかなと思っています」とうなずいた。

 永野といえば“最終のタケゾー”。デビュー当初からなぜかその日の最終レース(12R)に強く、私も含め馬券でお世話になった方も多いだろう。「(愛称は)知っています。意識はしていないんですけどね。たまたまだと思います(苦笑)。最終レースでも気持ちを切らさず乗っているのがいいのかな」と謙遜するが、今年に限っても最終レースは〈5・3・1・28〉。それぞれ1、10、2、5、9番人気馬でVを挙げ、単勝回収率228%は特筆できる数字だろう。その日の馬券で負けがこんでいる方は“最終のタケゾー”にすがってみてもいいかもしれない。

 JRA通算100勝目を同日(7月6日)に達成した永島まなみとは同期。「同期はみんな頑張っているけど、自分はまだ重賞を勝っていないし、同期と比べて技術的に足りない面は多いので。負けないように頑張りたい」と前を向いた。

 この秋は函館2歳Sで2着に導いたニシノラヴァンダに期待している。「お世話になっている西山オーナーの馬ですし、北海道から乗っていて思い入れもあります。距離はやってみないと分かりませんが、この馬と一緒に頑張りたいですね」。次戦はアルテミスS(10月26日・東京)を予定。トレードマークの丸刈りから少しだけ髪は伸びたが、精悍(せいかん)な顔つきからは次のブレイクを予感させるりりしさを感じるばかりだ。(デイリースポーツ・刀根善郎)