延長10回、勝ち越しとなる右越えソロを放つ佐藤輝(撮影・伊藤笙子)

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 「DeNA5−6阪神」(21日、横浜スタジアム)

 阪神が再逆転でDeNAを破り、逆転負けで痛い星を落とした首位巨人とのゲーム差を「2」に戻した。22日からは甲子園球場で阪神−巨人2連戦。直接対決を前にデイリースポーツ評論家の藤田平氏は「好球必打」を強調、消極性の見られる打者に対して意識の転換を説いた。

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 (試合は延長10回、佐藤輝の右越えソロ本塁打で阪神が勝ち越し、そのまま逃げ切った)

 佐藤輝は内角への直球をしっかり読んでいたのだろう。投手はウェンデルケン。外国人投手にありがちな、細かな制球に気を配るよりも“力に頼る投球”に対して冷静に応じていた。

 五回一死一、三塁で二ゴロ併殺に倒れたのは反省材料だが、これは“振る力”を持っている選手にありがちな打撃とも言える。返してやろうという気負いが『ただ振ってるだけ』の印象になったのはいただけない。

 (ゲーム展開は阪神が三回、井上の3ランなどで4点を先取。五回、DeNAは代打・宮崎の3ランなど4安打を集めて一度は逆転。阪神は八回、ウィックを攻めて無死満塁から代打・渡辺の二ゴロ=本塁への送球失策=で追いつき5−5のまま延長戦へ突入した)

 同じ攻撃面で残念だったのは八回。無死満塁という絶好の場面で代打の渡辺は初球、ド真ん中の直球を簡単に見送った。もったいない。恐らく変化球狙いだったのだろう。

 前回、甲子園での同じDeNA戦で、真ん中高めの直球を本塁打していたから、直球は来ないと踏んだのかもしれない。

 続く木浪も初球、真ん中の直球に手を出さなかった。大事に、慎重にという意識が強かったのかな。しかし、あそこは勢いに乗じてたたみかける場面。満塁での打席に強い選手でもあるし、深く考えず積極的に振っていくべきだった。

 甘い球は第一ストライクから打つこと。考えすぎると、自分で自分を追い込む結果になる。よりシンプルな思考が望ましい。

 私自身の経験から言うと、甘いボールは3球(ストライク)の中で1球あるかないか。それを見逃してしまうと、どんどん苦しくなっていく。だから現役時代は初球から積極的に振っていった。

 打者には色んなタイプがあるが、よほど経験を積んだ選手でないと、追い込まれてからの対応は難しいものだ。

 とはいえ、もつれた試合を継投策で持ちこたえて何とか勝ち、一方の巨人は逆転負けで2ゲーム差に戻った。

 勝負は下駄を履くまで分からないというが、直接対決の結果次第ではどうなるか。阪神が引っくり返す可能性は十分にあるとみる。