8月、競りに集まった漁業者や仲買人=福島県いわき市

 中国が東京電力福島第1原発の処理水海洋放出後に停止していた日本産水産物の輸入を再開することで日中両政府が合意したことに、日本各地の漁業関係者は安堵する一方で、輸出量が処理水放出前の水準に戻るか不安視する声も聞かれた。

 福島県相馬市の相馬双葉漁業協同組合。今野智光組合長は、中国がIAEAのモニタリングに参加することを「評価したい」と歓迎。一方で「本当に輸入を再開してくれるのか」と不安も口にした。

 北海道で、水揚げの約5割がホタテというオホーツク海側のある漁協職員は「処理水の放出は止まっておらず、中国の方々に以前のように利用してもらえるのか」と不安を隠せない。ホタテなどの加工食品を扱う丸ウロコ三和水産の山崎和也社長は「うれしいが、需要の増大で仕入れ値が高騰するのでは」と懸念した。

 有明海で取れ中華料理の食材として利用されるビゼンクラゲ。佐賀県によると、22年度、福岡、佐賀、長崎、熊本4県の中国への輸出額は約25億円に上っていた。