風力がイギリス最大の電力源になる
2024年4月までの1年間で、風力が天然ガスを超えてイギリス最大の電力源になったことがわかりました。
240902_Drax_24Q2_2024.pdf
(PDFファイル)https://reports.electricinsights.co.uk/wp-content/uploads/2024/09/240902_Drax_24Q2_2024.pdf
Wind becomes Britain’s largest electricity source | Q2 2024 Quarterly Report | Electric Insights
イギリスにおける天然ガスと風力による電力量を記したグラフが以下。2024年4月までの12カ月間では、天然ガスが81TWh(全体の31%)生産したのに対し風力が81TWh(全体の32%)生産しており、近代では初めて風力が最大の発電源となりました。
風力発電は自然に依存しているため、発電量が多いタイミングと少ないタイミングがあり、月間発電量だけで見ると実は2013年11月に初めて風力が発電量のトップに躍り出ていました。年間を通した総合計で風力が最も多くなったのは2024年が初めてです。
風力発電の出力が多くなった理由としては、2023年12月と2024年1月の暴風雨で風速が増したことと、新しい風力発電所が稼働したことなどが挙げられています。
イギリスでは風力発電の出力が前年比6%増加し、ガス発電の出力が25%減少していますが、ガス出力が大きく減少したのは海外からの電力輸入が増加したため。イギリスはフランスやノルウェー、デンマーク等から電力を輸入することで、国内の天然ガス火力発電所への依存を減らしつつあります。全体では電力の5分の1を輸入に頼っている状態です。
今回の報告をまとめたElectric Insightsによると、2023年の昨年の時点で、風力発電または太陽光発電を最大の電力源としている国は世界に10カ国あったとのこと。太陽光発電の場合はすべて中東と北アフリカの後発開発途上国で、風力発電の場合はすべてヨーロッパの沿岸諸国です。
Electric Insightsは「2021年、新型コロナウイルス感染症の影響によりロシアが欧州へのガス供給を制限し始めたため、価格が6倍に上昇しました。そして2022年、ロシアのウクライナ侵攻で市場が混乱に陥りました。しかし、2024年までの1年間で需要が減少し、アメリカや中東からの天然ガス供給が穴を埋めたため、ガス料金は通常の水準に戻りました。家庭の電気料金は2023年後半まで高止まりしたものの、2024年時点では過去12カ月間で24%減少しました。しかし、2020年頃の水準よりは高く、電気料金の高騰が食材やその他商品と同じく風力発電所等の建設・発電コストのインフレにも影響しているため、電気料金のさらなる低下には時間がかかるかもしれません」とまとめました。