「akta」に置かれている配布物。(提供:Rainbow Ring)

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「ある日、そのことに向き合わされた人がいます。ある日、そのことを知らされた人がいます。ある日、そのこととともに生きると決めた人がいます(Living Together 2005 Vol.1)」──。

 ゲイの間で増え続けるHIV(ヒト免疫不全ウイルス)感染者。厚生労働省がエイズ予防財団を通じて事業化したコミュニティセンター「akta(アクタ)」(東京都新宿区)でも、16日から都内で始まる「東京都エイズ予防月間」中に、イラストの展示会をはじめ音楽ライブとHIV感染者の書いた手紙の朗読イベントなどの啓発活動が行われる。

 東京都が毎年実施するHIV感染者調査によると、一般の20−30代の性的接触によるHIV感染者以上に、10−40代までのゲイのHIV感染者・AIDS(エイズ=後天性免疫不全症候群)患者が増え続け、40代までの各年代で6割以上を占めるという。「ゲイの街」として知られる新宿2丁目にある同センターでは、ゲイやその理解者を募り、HIVの正しい知識、予防、検査、感染後の生活などを支援する活動に力を入れている。

 毎週金曜日になると、同センターの「デリバリーボーイズ」と呼ばれる約20人の若者たちが、周辺のバーやクラブなど約220軒に無料のコンドームを配達している。エイズ防止のために、ゲイの芸術家や著名な漫画家などがデザインしたパッケージは50種類を超え、各店舗のカウンターなどに置かれているほかに、お店の人たちの協力によって、月に4000−5000個のコンドームが配られるという。

 NPO法人「ぷれいす東京」が発行するニュースレター「Living Together Letters」には、HIV感染者やその家族・恋人などによって書かれた手紙やその手紙を読んだ人の返事がおさめられている。同センターには、このような無料冊子が数十種類並べられている。また、歌のライブに加えて、HIV感染者の手紙などを朗読したりするイベントなども企画される。

 「愛」や「信頼関係」だけではHIV感染は防げない。同センターのスタッフは「HIV感染者とその周囲の人たちの『生』の声を(一般の人たちに)伝えることが、ゲイに限らず、みんなが真剣にエイズのことを考え始めるきっかけになると思います」と語る。現実のエイズと向き合うためには「HIV感染者が差別されずに社会に受け入れられ、いかにして生活を続けられるかが大きな課題です」とスタッフは付け加えた。

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「Living Together Lounge」
12月3日 17時から20時まで
ArcH 東京都新宿区新宿2−14−6 第二早川ビルB1
入場無料
03−3352−6297
【了】

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